孤独死で床下・下階まで汚染が及ぶケース|見分け方と特殊清掃の実例

孤独死の現場で、体液が床の表面だけにとどまっているとは限りません。発見が遅れた場合、体液はクッションフロアや床板を通り抜け、床下や下階の天井側まで届くことがあります。

この記事では、孤独死の特殊清掃で床下・下階まで汚染が及ぶケースについて、見分けるサイン、実際の作業の流れ、費用への影響を、実例をもとにお伝えします。大家さん、管理会社さん、ご遺族の方が、「どこまで作業が必要なのか」を判断する材料にしてください。

CFを剥がして下に浸透している様子

結論:表面が綺麗でも、床の下は別問題です

床の表面を洗って綺麗に見えても、汚染が残っていることがあります。そこで床下の確認を省くと、数週間から数か月後に臭いが戻り、結局やり直しになることがあります。

汚染が床下まで達しているかどうかは、見た目だけでは判断しきれません。発見までの日数、亡くなった場所、床材の種類や状態、季節などから疑い、必要に応じて床材を剥がして確認します。

体液はどのように床下まで届くのか

亡くなった方の体液は、時間が経つにつれて、次のように広がっていきます。

  1. 床の表面(クッションフロアやフローリング)に広がる
  2. 継ぎ目や隙間から、床材の下へ染み込む
  3. 床板に浸透し、さらに下の空間や、下階の天井側へ達する

建物の構造や床材によって、広がり方は変わります。ただ、発見までの日数が長いほど、深くまで届く可能性は高くなります。

床下・下階の汚染を放置するとどうなるか

  • 臭いが戻る。表面だけ清掃しても、床下に残った体液が臭いの発生源になり続けます。
  • ウジやハエが発生する。床下や天井裏に残った汚染は、害虫の発生源にもなります。
  • 下階に影響が出る。天井へのシミや臭いなど、下階の入居者の生活に影響する可能性があります。
  • 次の入居者が決まらない。臭いが残ったままでは、原状回復が完了したとは言えません。

床下・下階まで汚染を疑うべきサイン

次のような状況は、床下まで確認したほうがよいサインです。あくまで目安であり、当てはまらなくても汚れがある場合はあります。

  • 発見まで1〜2週間以上経っている
  • 体液が広範囲に広がっている(床のシミが大きい)
  • クッションフロアが浮いている、変色している
  • 表面を洗っても臭いが残る、または違和感がある
  • 夏場など、腐敗の進みやすい時期だった
  • 下階の天井にシミや臭いがある
  • ウジやハエが大量に発生した形跡がある

実例:笠間市のアパート、床下の天井側にウジのサナギが

茨城県笠間市のアパートで、60代の男性が玄関を入ってすぐの場所で亡くなっていました。発見まで約3週間。見つけたのは隣室の方で、きっかけは異臭でした。体液は広範囲に広がっていました。詳しくは笠間市の孤独死特殊清掃の事例に書いています。

「洗っても、終わった感じがしなかった」

作業は、まずクッションフロア(CF)を剥がすところから始めました。次に床板を洗浄しましたが、どこか違和感がありました。洗っても「終わった」という手応えがなかったのです。

そこで床板を剥がして確認したところ、下階の天井側にウジのサナギが付着していました。表面からは見えなかった汚染が、床の下まで届いていたのです。

床下にウジやハエが入ってしまっている様子

サナギは一つ残らず取り除く

サナギは、まず掃除機で残さず吸い取りました。それでも張り付いて剥がれないものは、スクレーパーで一つひとつ削り取りました。取り残しは、再発生と臭いの原因になるため、ここは手を抜けない工程です。

玄関は撤去し、下地から作り直した

汚れが深かった玄関部分は撤去しました。その後、「捨て貼り施工」で下地を作り直しています。表面だけ貼り替えるのではなく、汚染された部分を取り除いたうえで復旧する方法です。

作業期間は約2か月でした。床下まで及ぶ現場は、清掃だけでなく撤去・洗浄・脱臭・下地の復旧まで必要になるため、期間も長くなります。

床下まで及ぶ場合の作業の流れ

  1. 遺品の整理と搬出。汚染された遺品と、残す遺品を分けます。
  2. クッションフロアの撤去。表面の床材を剥がし、汚染の範囲を確認します。
  3. 床板の洗浄と、状態の確認。洗浄して違和感がある場合は、床板の下まで確認します。
  4. 床板の撤去と、床下の確認。汚れが深い部分は撤去します。
  5. 床下・下階の天井側の洗浄・消毒。ウジやサナギの除去も、この段階で行います。
  6. 消毒。安定化二酸化塩素を使用しました。
  7. 脱臭。医療用酸素を使った高濃度オゾン脱臭と、無光触媒の施工を行いました。
  8. 臭気の測定。作業前後に数値を測り、完了を確認します。
  9. 下地の復旧。捨て貼り施工などで、原状回復の準備をします。

臭気測定の詳細は、孤独死の特殊清掃で行う臭気測定とはで説明しています。この現場では、作業前の臭い強度が測定上限を超える「999以上」でしたが、最終的に「0」まで下げました。大家さんと故人のお姉様には、数値を見ていただいて安心していただけました。

床下まで及ぶと、費用はどう変わるか

上の実例のうち、床に関わる作業の費用は次のとおりです。

項目 金額
CF剥がし 30,000円
床板剥がし 50,000円
床下洗浄・消毒 30,000円
床に関わる作業の小計 110,000円

これに加えて、玄関の撤去と捨て貼り施工、化学的脱臭(100,000円)、無光触媒(50,000円)、遺体跡のバイオ洗浄(100,000円)などが必要でした。事案全体の合計は870,000円です。費用の全体像は、特殊清掃の料金ページもご覧ください。

床下まで汚染が及ぶと、費用は「撤去・洗浄の手間」と「作業期間」の分だけ増えます。ただし、床下を確認せずに終えると、臭いが戻って結局やり直しになり、かえって高くつくことがあります。

発見までの日数と費用の関係は、孤独死の特殊清掃費用は、発見までの日数で決まる?で、当社の事例と比べて解説しています。

なお、この事案は孤独死保険が適用され、100万円が支給されました。保険の請求については、孤独死保険で特殊清掃費用を請求するにはで説明しています。

大家さん・管理会社が確認しておくこと

  • 下階の入居者への対応。天井や臭いへの影響がないか、状況を確認し、必要に応じて早めに連絡します。
  • 保険の加入状況。床下の撤去・復旧が補償の対象になるかを確認します。作業を始める前に、保険会社へ連絡しておくと安心です。
  • 床下まで確認する前提で見積もりをとる。調査の結果、追加作業が出る可能性を、事前に説明してもらいます。

賃貸で孤独死が起きたときの全体の流れは、賃貸で孤独死が起きたら|管理会社・オーナーの初動と業者の確認リストで解説しています。発見直後に何をすべきかは正しい初動対処のページもご覧ください。

業者選びで確認してほしいポイント

  1. 床下・下階まで確認する姿勢があるか。表面の清掃だけで終える業者だと、後から臭いが戻ることがあります。
  2. 追加作業が出る条件を説明してくれるか。「床板を剥がして汚染が見つかった場合」など、事前の説明があるかが大切です。
  3. 臭気を数値で確認してくれるか。完了の判断が感覚だけでは、見えない部分の仕上がりは確認できません。
  4. 作業前後の写真で、報告してくれるか。床下は、依頼者が直接見られない場所です。記録が信頼の根拠になります。

よくあるご質問

床下まで汚染が及んでいるかどうかは、事前にわかりますか?

表面の状態だけでは、判断できないことが多いです。発見までの日数や床材の状態から可能性を見立て、現地で確認します。今回の事例のように、床板を剥がして初めて、下階の天井側までの汚染が見つかることもあります。

床板を剥がさずに、洗浄だけで済ませることはできますか?

汚染が浅い場合は可能なこともあります。ただ、深く浸透している場合は、洗浄だけでは臭いの原因が残ります。現地で状態を確認したうえで、必要な範囲をご説明します。

下階の部屋に影響が出ることはありますか?

汚染が床下や下階の天井側まで達すると、臭いやシミなどの影響が出る可能性があります。下階の状況も含めて、確認することをおすすめします。

床下まで作業した場合、期間はどれくらいかかりますか?

汚染の範囲によって異なります。笠間市の事例では、撤去・洗浄・脱臭・下地の復旧まで含めて約2か月でした。

お問い合わせ

孤独死の汚染は、見えている部分だけがすべてではありません。発見まで日数が経っている場合や、洗っても違和感が残る場合は、床下・下階まで確認することが、臭いの再発を防ぐ近道です。

「床下まで及んでいるのか、まず知りたい」という段階でも構いません。

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