孤独死保険で特殊清掃費用を請求するには|必要な記録と流れ

この記事の結論:孤独死保険や、契約によっては火災保険などで、特殊清掃の費用が補償されることがあります。ただし、「加入していた」だけでは保険金は支払われません。保険会社に作業内容を示すための記録(見積書、作業前後の写真、作業報告書、領収書など)が必要になります。保険の種類によって、誰が契約者で、誰に保険金が支払われ、どこまで補償されるかも異なります。また、業者を自分で選べる契約か、保険会社の提携・指定業者に依頼する仕組みかによっても、結果が変わることがあります。この記事では、保険の確認の仕方、依頼から請求までの流れ、請求で求められやすい記録を、特殊清掃の現場の立場から解説します。

補償の範囲や手続きは、保険会社や契約内容によって異なります。最終的な判断は、必ず加入している保険会社にご確認ください。

まず、加入している保険の種類を確認する

特殊清掃に関わる保険は、次のように分けられます(商品によって補償は異なります)。

種類契約者主な補償保険金の受取人
家主向けの孤独死保険家主(オーナー)空室損失、家賃の値引き、建物の修繕など家主
入居者向けの孤独死保険入居者(借主)特殊清掃、遺品整理、葬儀費用などご遺族(指定受取人)
付帯型(保証会社・特約など)保証会社、家主、入居者特殊清掃、残置物の撤去など多くは家主への精算
火災保険入居者またはオーナー建物・家財の損害特殊清掃は補償対象外のことが多い(契約・特約による)

孤独死保険の仕組みそのものは、孤独死保険の解説ページでもご案内しています。

加入しているか分からないとき

ご遺族が、故人様や物件の保険の加入を知らないことは少なくありません。次の順に確認してみてください。

  • 賃貸借契約書や、保険証券(郵送の書類、メールの契約内容)
  • 管理会社・オーナー様・家賃保証会社への問い合わせ
  • 故人様の預金通帳の引き落とし(保険料)や、郵便物
  • 賃貸の場合、入居時に付帯していた保険や特約の有無(管理会社が把握していることがあります)

依頼から保険請求までの流れ

流れは保険会社によって異なりますが、おおよそ次の順になります。

  1. 加入している保険を確認する
  2. 保険会社へ連絡する(保険会社によっては、作業前の連絡や承認が必要になることがあります)
  3. 保険会社の条件を確認する(業者を自分で選べるか、指定の業者があるか、見積書の様式、必要な書類など)
  4. 特殊清掃業者の現地調査・見積り(作業項目ごとの内訳があると、確認しやすくなります)
  5. 作業を行う(作業前・作業中・作業後の写真と、臭気測定の記録を残す)
  6. 作業報告書・請求書・領収書を受け取る
  7. 保険会社へ請求する

特に注意したいのは2番目です。保険会社への連絡や承認の前に作業を終えてしまうと、補償の対象外とされる可能性があります。業者に依頼する前に、保険会社へ確認することをおすすめします。

業者を自分で選べるか、保険会社の指定があるか

保険会社や契約によって、特殊清掃の業者の選び方は異なります。

タイプ特徴確認したいこと
業者を自分で選べる特殊清掃の技術や対応範囲、見積りの内訳を比べて選べる見積書の様式、必要な書類、事前の承認の要否
保険会社の提携・指定業者に依頼する手続きが一括で進むことがある特殊清掃・脱臭まで対応する業者か、臭いが残った場合の対応、業者を変更できるか

ここで、当社が実際に見た現場の話をします。保険会社の提携業者が作業した現場で、片付けが中心で、脱臭までは行われず、臭いが残っていたことがありました。提携業者がすべてそうだというわけではなく、保険会社を通すかどうかにかかわらず、業者によって作業の範囲は違います。そのため、依頼の前に、何をどこまで行うのかを確認することが大切です。

  • 業者を自分で選べる契約か、指定の業者があるか
  • 指定の業者の場合、特殊清掃(脱臭を含む)まで対応する業者か
  • 作業の前後に、臭気測定を行うか
  • 作業後に臭いが残った場合、再対応してもらえるか、業者を変更できるか
  • 追加の作業が必要になったとき、保険会社はどう扱うか
  • 搬出経路(共用部)の養生を、誰が、どの範囲で行うか。養生材の処分は誰が行うか

「片付け」と「特殊清掃」は、作業範囲が違う

項目片付け中心の作業特殊清掃
主な作業残置物の撤去・搬出・処分体液や汚れの処置(洗浄・消毒)、脱臭、必要に応じた建材の撤去・補修
汚れ源(床下・根太など)の確認行わないことがある臭気の状況に応じて確認する
脱臭行わない、または限定的汚染源の処置と、脱臭を行う
臭気測定ないことがある作業の前後で数値を確認する
搬出時の共用部の養生行われないことがある汚れや臭気が広がらないよう、搬出経路を養生する
見積書の項目撤去・処分が中心洗浄・脱臭・測定などの項目がある

※一般的な違いの例です。業者によって、作業の範囲は異なります。

見積書が「撤去・処分」だけで、洗浄や脱臭、測定の項目がない場合は、臭いが残る可能性があります。依頼の前に、作業の範囲を確認してください。

共用部の養生は、作業の前に取り決めておく

youzyou
建物・EV・ドアなどの養生

体液や臭いのついた遺品を搬出するとき、共用部(廊下、階段、エレベーターなど)に養生をしないと、床や壁に汚れが付き、臭気が広がって、近隣の方からの苦情や、追加の清掃につながることがあります。

実際に、共用部の養生が行われないまま搬出が始まった現場で、当社が養生を施したことがあります。養生は、一般には、搬出を行う業者が行うものですが、事前の取り決めがないと、行われないことがあります。

  • 養生を、誰が行うか(搬出を行う業者か、別の業者か)
  • 養生の範囲(玄関前、廊下、階段、エレベーター、建物の出入口など)
  • 養生にかかる費用が、見積書に含まれているか
  • 使い終わった養生材の処分を、誰が行うか

管理会社・オーナー様、ご遺族様、業者のあいだで、作業の前に書面(見積書や作業計画)で確認しておくと、現場での行き違いを防げます。

これから保険に加入する場合は、補償の範囲や上限額に加えて、業者を選べる契約かどうかも、比べるポイントになります。業者選びの考え方は、特殊清掃・遺品整理の業者選びで後悔しないためにもご覧ください。

請求で求められやすい書類・記録

書類・記録内容業者が用意できるもの
見積書作業項目ごとの内容と金額用意できる
作業前・作業中・作業後の写真汚れの状態、作業の経過、仕上がり用意できる(個人や物件が特定されないよう配慮が必要)
作業報告書実施した作業と、日程・人数用意できる
臭気測定の記録作業前後の測定値(臭気測定の数値の見方)用意できる
請求書・領収書費用の支払いを示す書類用意できる
死亡に関する書類死亡の事実や状況を示す書類(保険会社が求める場合)ご遺族・管理会社・保険会社への確認が必要

当社では、石岡市の事例のように、見積書、作業前後の写真、報告書を作成してお渡ししています。保険会社が指定する様式や項目がある場合は、事前にお知らせください。可能な範囲で対応をご相談します。

実例|保険を活用した2つの事例

石岡市の集合住宅(2DK)|孤独死保険を適用

発見まで約4週間、布団から畳まで浸透した現場です。孤独死保険を適用しました。総額は786,500円(税込)で、費用は項目ごとの内訳を明示しています。事例の詳細は、石岡市の特殊清掃事例をご覧ください。

板橋区のアパート|火災保険を活用

死後約2週間の現場で、火災保険を活用しました。火災保険で特殊清掃の費用が補償されるかは、契約内容(特約)によって異なります。詳細は、事例ページをご覧ください。

保険で補償された金額は、契約の補償範囲や上限によって、事例ごとに異なります。

保険が使えない、または足りないとき

  • 補償の上限や、免責の条件を、保険会社に確認する
  • 賃貸の場合は、管理会社・オーナー様に、費用の負担の考え方を相談する
  • 費用の負担は、賃貸借契約の内容や、相続の状況によって異なります。必要に応じて、弁護士などの専門家に相談する
  • 費用の支払いが難しい場合の考え方は、特殊清掃の費用が払えないときの対処法でも解説しています

費用の考え方は、料金ページ、日数と費用の関係は発見までの日数と費用の事例比較をご覧ください。

孤独死保険と特殊清掃に関するよくある質問

q

保険に入っているか分かりません。どうすればいいですか?

a

賃貸借契約書、保険証券、管理会社・オーナー様・家賃保証会社への問い合わせ、故人様の預金通帳の引き落としなどから確認できます。分からないまま作業を始めると、あとから保険を使えなくなる場合があるため、先に確認することをおすすめします。

q

保険会社に連絡する前に、作業を始めてもいいですか?

a

保険会社によっては、作業前の連絡や承認が必要なことがあります。作業を終えたあとでは、補償の対象外とされる可能性があるため、先に保険会社へ確認してください。

q

見積書は、保険会社の指定の様式でないといけませんか?

a

保険会社によって異なります。指定の様式や、記載してほしい項目がある場合は、事前にお知らせください。可能な範囲で対応をご相談します。

q

保険金は、誰に支払われますか?

a

保険の種類によって異なります。入居者向けの保険では、ご遺族(指定受取人)に、家主向けの保険では家主に、付帯型では、家主への精算となることが多くあります。契約内容を、保険会社へご確認ください。

q

火災保険で、特殊清掃の費用は補償されますか?

a

補償されないことが多いですが、契約内容(特約)によって補償される場合もあります。板橋区のアパートの事例では、火災保険を活用しました。まずは、保険会社へご確認ください。

q

保険会社が業者を指定している場合、自分で選べますか?

a

契約や保険会社によって異なります。自分で業者を選べる契約もあれば、提携・指定の業者に依頼する仕組みの場合もあります。まず、保険会社に、業者を選べるかを確認してください。

q

保険会社の指定業者の作業後も、臭いが残っている場合はどうすればいいですか?

a

まず、保険会社と業者に、臭いが残っている状況を伝え、再対応が可能かを確認してください。臭気測定で数値を確認し、床下など発生源が残っていないかも調べることが大切です(臭いが残る原因)。保険会社の手続きについては、保険会社にご相談ください。

q

「片付け」と「特殊清掃」は、何が違いますか?

a

片付けは、残置物の撤去・搬出・処分が中心です。特殊清掃は、それに加えて、体液や汚れの処置、脱臭、必要に応じた建材の撤去・補修を行い、臭気の状況を確認します。見積書の項目で、作業の範囲を確認できます。

q

共用部の養生は、誰が行いますか?

a

契約や事前の取り決めによって異なりますが、搬出を行う業者が行うのが一般的です。取り決めがないと、行われないことがあるため、作業の前に、担当・範囲・費用・養生材の処分を確認してください。

q

補償の上限を超えたら、どうなりますか?

a

上限を超えた分は、自己負担となるのが一般的です。賃貸の場合は、費用の負担について、管理会社・オーナー様、必要に応じて専門家にご相談ください。

関連する施工事例・解説記事

お問い合わせ

保険を使う場合の見積書や、作業の記録についてのご相談を承ります。現地調査・お見積りは原則無料です。茨城県・東京都を中心に対応しています(対応エリア)。

※保険の適用、補償の範囲、費用の負担は、契約内容や状況によって異なります。当社は保険の専門家ではなく、保険金の支払いを保証するものではありません。最終的な判断は、保険会社や専門家にご確認ください。