笠間市の孤独死特殊清掃|発見3週間・床下汚染の実例と費用87万円

笠間市の孤独死の特殊清掃で行った捨て貼り施工

孤独死の現場は、一件として同じものがありません。今回ご紹介するのは、茨城県笠間市のアパートで起きた孤独死の特殊清掃の事案です。60代の独身男性が、玄関を入ってすぐの場所で亡くなり、発見まで約3週間かかりました。

この記事では、現場で何が起きていたのか、どんな順番で作業を進めたのか、費用はいくらかかったのかを、できるだけ隠さずにお伝えします。同じような状況に直面した大家さん、管理会社さん、ご遺族の方の判断材料になれば幸いです。

笠間市のアパートの玄関で孤独死

笠間市の孤独死の概要

故人は笠間市内のアパートで一人暮らしをしていた60代の男性です。日常的に大量のアルコールを摂取されていたそうです。

発見までには約3週間かかりました。見つけたのは隣の部屋の方で、きっかけは異臭でした。「いつもと違う臭いがする」という気づきがなければ、さらに発見が遅れていたかもしれません。

日本少額短期保険協会のレポートでは、孤独死が発生してから発見されるまでの平均日数は19日とされています。今回の約3週間は、決して特別に長いケースではありません。

亡くなっていたのは玄関を入ってすぐの場所でした。この位置は、特殊清掃の現場では特に厄介です。玄関は人の出入りが多く、臭いが共用部分や隣室に漏れやすいためです。

笠間市のアパートで故人が孤独死していた部屋の様子

笠間市の孤独死現場の状態:表面の下に隠れていた汚染

私たちが入った時点で、体液は広範囲に広がっていました。遺品も多く、まず片付けから始める必要がありました。

作業を進める中で、見た目以上の被害が見えてきました。

  1. 表面のクッションフロア(CF)を剥がしました。
  2. その下の床板を洗浄しましたが、どこか違和感がありました。洗っても「終わった感じ」がしなかったのです。
  3. 思い切って床板を剥がしたところ、下階の天井側にウジのサナギが付着していました。

表面を拭いて綺麗に見えても、体液は床材を通り抜けて下へ染み込んでいたということです。ここで床板の撤去を判断していなければ、臭いは戻っていたと思います。床下まで汚染が及ぶケースについては、孤独死で床下・下階まで汚染が及ぶケースで詳しく説明しています。

床板を剥がすと下階の天井にウジやハエの残骸があった様子

孤独死の特殊清掃の作業の流れ

サナギは、掃除機で一つ残さず吸い取りました。それでも張り付いて剥がれないものは、スクレーパーで削り取っています。地味な作業ですが、取り残しは再発生や臭いの原因になるので、ここは妥協できません。ウジ・サナギの駆除については、孤独死のウジ・ハエはどう駆除する?でも解説しています。

汚れが深く、玄関部分は撤去する判断をしました。全体を解体するのではなく、汚染の深い箇所を見極めて、必要な部分だけを撤去する考え方です。その後、下地を作り直す「捨て貼り施工」を行っています。

消毒には安定化二酸化塩素を使用しました。脱臭は薬剤だけに頼らず、無光触媒の施工と、医療用酸素を使った高濃度オゾン脱臭を組み合わせました。

医療用酸素を使うのは、オゾンの原料が酸素だからです。空気中の酸素は約20%しかないため、超高濃度のオゾンをつくるには、100%の酸素である医療用酸素が効果的です。仕組みと安全性は、孤独死の臭いにオゾン脱臭は効く?仕組み・安全性・限界で説明しています。

作業期間は約2ヶ月です。清掃して終わりではなく、撤去、洗浄、脱臭、下地の復旧まで含めた期間になります。

におい強度をOMX-ADMの臭気測定器で計測した様子999以上

臭気測定と「においの見える化」で安心していただく

この現場で、私たちの「においの見える化」が大きな役割を果たしました。

臭いは目に見えないので、「本当に消えたのか」を誰も確かめられません。作業前の臭い強度は999以上、測定の上限を超える状態でした。これを最終的に強度0まで下げています。数値で示せば、「まだ臭う気がする」という不安に具体的な答えを出せます。

この手法は弊社が考え出したものです。大家さんと故人のお姉様には、数値と経過を見ていただいたことで、最終的に安心していただけました。臭気測定の詳細は、孤独死の特殊清掃で行う臭気測定とはをご覧ください。

大家さんのこと

印象に残っているのは大家さんの姿です。大家さんはご高齢でしたが、故人のために花を持って現場に来られました。

孤独死は、大家さんにとっても大きな出来事です。物件の損害や次の入居の心配もある中で、亡くなった方を悼む気持ちを忘れずにいらっしゃいました。私たちも、背筋の伸びる思いでした。

玄関の捨て貼りを終えて特殊清掃が完了した様子

近隣の方の声

近隣の方からは、こんな話を聞きました。

お酒を飲まないときは、本当に優しい人だった

一方で、お酒が入ると叫んだり、怒ったりすることもあったそうです。

どちらも、その方の姿だったのだと思います。孤独死というと「問題のある人」のように語られがちですが、現場で聞こえてくるのは、そう単純ではない生活の話ばかりです。

笠間市のアパートで男性が暮らしていた部屋

笠間市の孤独死の特殊清掃にかかった費用の内訳

今回の費用は次のとおりです。

項目 金額
遺品整理 200,000円
作業前後の消毒 60,000円
遺体跡バイオ洗浄 100,000円
CF剥がし 30,000円
床板剥がし 50,000円
床下洗浄・消毒 30,000円
化学的脱臭(医療用酸素を使った高濃度オゾン) 100,000円
無光触媒 50,000円
作業人件費 180,000円
諸経費 70,000円
合計 870,000円

茨城県内の当社の施工事例は、遺品整理を含めて約35万〜80万円弱が目安です。今回は、床下の天井側まで汚れが及び、作業期間も約2ヶ月と長かったため、この目安を上回りました。費用の考え方は、特殊清掃の料金ページをご覧ください。

この事案では、孤独死保険が適用され、100万円が支給されました。そのため、大家さんの自己負担なく原状回復まで進められています。保険の請求については、孤独死保険で特殊清掃費用を請求するにはで説明しています。

費用は、発見までの日数、体液の広がり、床下への浸透、遺品の量で大きく変わります。今回は3週間という期間と、床下まで汚れが及んでいたことが金額に影響しました。

発見までの日数と費用の関係は、孤独死の特殊清掃費用は、発見までの日数で決まる?で、当社の事例と比べて解説しています。笠間市の事例のように、床下まで汚染が及んだ場合の目安にもなります。

CFの下にまで体液が染み込んだ様子

孤独死の特殊清掃で、知っておいてほしいこと

  • 表面が綺麗でも安心できません。体液は床材の下まで届くことがあります。
  • 臭いは「感覚」ではなく数値で確認できます。完了の判断基準があると、関係者全員が納得しやすくなります。
  • 保険が使える場合があります。大家さんは、孤独死保険の加入状況を先に確認してください。
  • 発見の早さが被害を左右します。異臭に気づいた隣人の通報は、決して小さな行動ではありません。

賃貸で孤独死が起きたときの全体の流れは、賃貸で孤独死が起きたら|管理会社・オーナーの初動と業者の確認リストをご覧ください。遺品整理を同時に進める場合は、孤独死の特殊清掃と遺品整理は同時に頼むべき?も参考にしてください。

よくあるご質問

発見から何日以内に連絡すればいいですか?

できるだけ早くご連絡ください。日数が経つほど体液は床材の奥へ浸透し、臭いも強くなります。警察の確認が終わり、入室の許可が出た段階で、すぐにご相談いただくのが理想です。

床下まで汚染が及んでいるかどうかは、事前にわかりますか?

表面の状態だけでは判断できないことが多いです。今回の事案のように、床板を剥がして初めて下階の天井側まで汚染が見つかるケースもあります。現地で確認したうえで、追加の作業が必要な場合は、作業を進める前にご説明します。

「においの見える化」とは何ですか?

臭気測定器で臭いの強さを数値で示し、作業前後の変化を確認できるようにした当社の手法です。「本当に臭いが消えたのか」を、感覚ではなく数値でご確認いただけます。

遺品整理も同時にお願いできますか?

はい、可能です。特殊清掃と同時に進めることで、段取りや日程をまとめられます。

孤独死保険は誰でも使えますか?

大家さんが保険に加入している場合に、補償の対象となることがあります。補償の範囲や条件は契約によって異なりますので、先に契約内容をご確認ください。

笠間市の孤独死の特殊清掃を終えた現場

弊社が思ったこと

今回の現場で、私たちが一番心に残ったのは、大家さんが持ってこられた花と、近隣の方の「お酒を飲まないときは、本当に優しい人だった」という言葉でした。

お酒に頼る生活の中で、人知れず亡くなっていった方です。それでも、悼む人がいて、覚えている人がいました。誰にも看取られなかったとしても、その方の人生が軽いわけではないと、あらためて感じた現場です。

私たちにできるのは、臭いを消し、部屋を元の状態に戻すことです。それが、大家さんの不安を和らげ、お姉様が故人とお別れする区切りになるのであれば、この仕事をしていて良かったと思います。作業が終わり、においの数値がゼロになったとき、お二人の表情がふっと緩んだことは、きっとこれからも忘れません。

孤独死の現場でお困りの際は、状況がわからない段階でも構いません。まずはご相談ください。

お問い合わせ

管理会社・オーナー様からのご相談も承ります。現地調査・お見積りは原則無料です。茨城県・東京都を中心に対応しています(対応エリア)。

関連ページ

この記事は、孤独死・特殊清掃に関する情報の入口です。詳しく知りたい内容は、下記のページをご覧ください。

※本記事は、一般的な情報の提供を目的としています。法的な判断、費用の負担、告知の要否、保険の適用は、個別の事情や契約内容によって異なります。当社は法律・保険の専門家ではありません。最終的な判断は、弁護士・不動産会社・保険会社などの専門家にご確認ください。

この記事を書いた専門家:増田裕次

株式会社ToDo-Company(トゥードゥーカンパニー) 代表

遺品整理・特殊清掃の専門家として25年以上業務に従事。2000年に遺品整理・孤独死の特殊清掃専門の『遺品整理クリーンサービス』を創業し、2010年に株式会社ToDo-Companyを設立。専門チーム「孤独死清掃本部」を立ち上げ、遺品整理人・特殊清掃スタッフの育成にも取り組んでいます。

【保有資格・商標】遺品整理人®︎(商標登録:第5967866号)

【受賞・メディア・講演実績】

 ・遺品整理人を描いた草なぎ剛さん主演ドラマ「終幕のロンド」監修

 ・フジテレビ「ザ・ノンフィクション『孤独死の向こう側 27歳の遺品整理人』」出演

 ・2018 NEW YORK FESTIVAL「LONELY DEATHS(孤独な死)」銀賞

 ・自治体・地域包括支援センター主催の市民向け講演会・セミナー登壇多数