孤独死の臭いにオゾン脱臭は効く?仕組み・安全性・限界の現場実例

孤独死の現場の臭いは、一般的な消臭剤や換気では消えません。そこで特殊清掃では、オゾンを使った脱臭を行うことがあります。

この記事では、孤独死の現場で使う高濃度オゾン脱臭の仕組み、安全に使うための条件、そして「オゾンだけでは消えないケース」について、実例をもとにお伝えします。業者から「オゾン脱臭をします」と説明を受けた大家さん、管理会社さん、ご遺族の方が、内容を理解して判断する材料にしてください。

オゾン脱臭機で空間のにおいを除去している様子

結論:オゾン脱臭は有効だが、単独では完結しない

オゾン脱臭は、空気中や壁・天井などに残った臭い成分を分解する方法で、孤独死の脱臭では有力な手段の一つです。ただし、臭いの発生源となる汚れを取り除かないまま使っても、臭いは戻ります。

孤独死の脱臭は、①汚れ源の除去(清掃・撤去)→ ②消毒 → ③科学的脱臭→④バイオ洗浄→⑤オゾンなどによる脱臭 → ⑥臭気の測定による確認という順番で進めて、はじめて成り立ちます。オゾン脱臭は、その中の一つの工程です。

オゾン脱臭の仕組み

オゾンは、酸素原子が3つ結びついた気体で、強い酸化力を持っています。この力で、臭いの原因となる成分を化学的に分解します。香りで覆い隠すのではなく、臭いの成分そのものを分解するのが特徴です。

オゾンは気体のため、家具の隙間や壁の中、天井裏など、人の手が届きにくい場所にも行き渡ります。これが、拭き掃除や薬剤だけでは取れない臭いに有効な理由です。使用後は時間とともに酸素へ戻るため、薬剤のように残留しにくい点も特徴です。

「高濃度」で行う理由

孤独死の腐敗臭は、通常の生活臭と違い、壁・床・天井などに深く染み込んでいます。濃度が低いと、表面の臭いは取れても、染み込んだ臭いに十分に作用しません。そのため、孤独死の現場では、高濃度のオゾンを一定時間、密閉した空間で作用させる方法をとります。

高濃度のオゾンをつくるには、原料にも工夫が必要です。次に、その理由を説明します。

当社が医療用酸素を使う理由

オゾン脱臭機は、原料となる酸素を取り込み、そこからオゾンをつくり出す機械です。空気中の酸素は約20%しかないため、空気をそのまま原料にする方法では、つくれるオゾンの濃度に限りがあります。

これに対して、医療用酸素は100%の酸素です。原料の酸素の割合が高いぶん、超高濃度のオゾンを効率よくつくり出せます。染み込んだ腐敗臭に深く作用させるには、この高濃度のオゾンが効果的です。当社が、孤独死の現場で医療用酸素を使うのは、このためです。

空気を原料にする場合 医療用酸素を原料にする場合
原料の酸素の割合 約20% 100%
つくれるオゾンの濃度 限りがある 超高濃度が可能
染み込んだ臭いへの作用 届きにくい場合がある 深部まで作用させやすい

ただし、濃度が高いほど、人体への影響も大きくなります。高濃度で行うからこそ、密閉、立ち入り制限、作業後の換気と濃度確認といった安全管理を徹底しています。

高濃度オゾン脱臭OST法

安全性:オゾンは人がいる環境では使えない

オゾンは有害なガスです。吸い込むと、のどや目、呼吸器に刺激を与える可能性があります。一般に、作業環境での許容濃度の目安は0.1ppm程度とされており、高濃度オゾンの作業中の空間は、これを大きく上回ります。そのため、次の安全管理が欠かせません。

  • 作業中は、人も動物も立ち入らない。作業する部屋だけでなく、周囲への漏れにも注意します。
  • 空間を密閉する。隣室や共用部分、下階へオゾンが漏れないようにします。
  • 作業後は十分に換気し、濃度が下がったことを確認してから立ち入る。時間だけで判断せず、確認が必要です。
  • 表示と周知。作業中であることを明示し、隣室・下階の方にも事前に伝えます。

集合住宅では、近隣への配慮が特に大切です。作業の前に、どのような作業を、いつ行うかを説明できる業者かどうかも、業者選びの基準になります。

オゾン脱臭の「限界」と注意点

1. 発生源が残っていると、臭いは戻る

体液で汚れた床材や、染み込んだ床板が残っていれば、そこから臭いが出続けます。オゾンで空気中の臭いを分解しても、発生源がある限り、時間とともに戻ります。実例のとおり、汚染された床材は撤去が必要な場合があります。

2. 素材に影響が出ることがある

オゾンは酸化力が強いため、ゴムやプラスチック、一部の金属、布製品などを劣化させたり、変色させたりすることがあります。精密機器や貴重品は、事前に搬出するなどの配慮が必要です。

3. 「臭いが消えた気がする」だけでは判断できない

オゾン自体にも独特の臭いがあるため、人の鼻だけでは、本当に腐敗臭が消えたのか判断しづらくなります。数値で確認する仕組みが必要です。

実例:笠間市の現場、臭い強度999以上から0へ

茨城県笠間市のアパートで、60代の男性が玄関を入ってすぐの場所で亡くなり、発見まで約3週間かかりました。体液は広範囲に広がり、床板の下、下階の天井側まで汚染が及んでいました。詳しくは笠間市の孤独死特殊清掃の事例をご覧ください。

この現場では、次の順番で脱臭を進めました。

  1. 汚染源の除去。クッションフロアと床板を撤去し、床下まで洗浄しました。詳しくは孤独死で床下・下階まで汚れが及ぶケースで説明しています。
  2. 消毒。安定化二酸化塩素を使用しました。
  3. 高濃度オゾン脱臭。医療用酸素を使用して、高濃度オゾンによる脱臭を行いました。
  4. 無光触媒の施工。臭いの再発を抑えるために施工しました。
  5. 臭気の測定。作業前後に数値で確認しました。

作業前の臭い強度は、測定の上限を超える「999以上」でした。この数値を、最終的に「0」まで下げています。大家さんと故人のお姉様には、数値と経過を見ていただき、最終的に安心していただけました。臭気測定については、孤独死の特殊清掃で行う臭気測定とはで説明しています。

この事例の脱臭に関する費用は、化学的脱臭(高濃度オゾン)が100,000円、無光触媒が50,000円でした。事案全体の費用は、特殊清掃の料金ページもご覧ください。

臭い強度が0になった様子

市販のオゾン発生器を、自分で使ってもいいか

安価なオゾン脱臭機
一般的な安価に変えるオゾン脱臭機はおすすめしない

おすすめしません。理由は次のとおりです。

  • 安全の管理が難しい。濃度の管理や密閉、換気の確認をせずに使うと、健康被害につながる恐れがあります。
  • 出力が足りないことが多い。孤独死の臭いは染み込んでいるため、家庭用の機器では十分に作用しないことがあります。
  • 発生源の汚染が残る。オゾンだけで臭いは消えず、汚染の除去が先に必要です。
  • 近隣への影響。集合住宅では、漏れたオゾンが隣室や共用部分に影響する可能性があります。

業者選びで確認してほしいポイント

  1. 汚れ源の除去をしたうえでのオゾン脱臭か。オゾンだけで済ませる説明には注意が必要です。
  2. 安全対策を説明できるか。立ち入り制限、密閉、換気、近隣への周知について説明を受けてください。
  3. 臭気を数値で確認してくれるか。完了の基準が、感覚ではなく数値であることが大切です。
  4. 保証や、臭いが戻った場合の対応があるか。事前に確認しておくと安心です。
  5. 脱臭の技術に、根拠があるか。当社は、第三者機関による実証試験で消臭の科学的根拠を取得しています。詳しくは当社独自の消臭技術と臭気測定をご覧ください。

よくあるご質問

オゾン脱臭だけで、孤独死の臭いは消えますか?

消えないケースが多いです。臭いの発生源である汚染を取り除かないと、オゾンで空気中の臭いを分解しても、時間とともに戻ります。清掃・撤去・消毒を行ったうえで、オゾン脱臭を組み合わせます。

オゾン脱臭は、体に悪くないですか?

高濃度のオゾンは、人体に有害です。そのため、作業中は人や動物が立ち入らないようにし、作業後は十分に換気して、濃度が下がったことを確認してから立ち入ります。この管理ができる業者に依頼することが重要です。

作業中、隣の部屋や下階に影響はありますか?

空間を密閉して行いますが、集合住宅では漏れへの配慮が必要です。作業前に、近隣へ作業内容と日程を説明できる業者を選んでください。

オゾン脱臭には、どれくらいの時間がかかりますか?

臭いの強さや部屋の広さ、構造によって変わります。1回で終わらず、測定しながら繰り返すこともあります。笠間市の事例では、撤去・洗浄から下地の復旧まで含めて、約2か月かかりました。

家具や家電は、オゾンで傷みますか?

ゴム、プラスチック、一部の金属、布製品などは、劣化や変色が起きることがあります。大切なものは、作業前に搬出するなどの対応をご相談ください。

お問い合わせ

高濃度オゾン脱臭は、孤独死の臭いに有効な手段ですが、汚れ源の除去、消毒、臭気の測定とセットで、はじめて効果を発揮します。また、人体に有害なため、安全管理が欠かせません。

「どんな方法で臭いを取るのか、説明を聞きたい」という段階でも構いません。

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