孤独死で畳に体液が浸透したら|畳を残せるか、新調すべきかの判断と費用の目安

この記事の結論:布団の上で亡くなった現場では、体液が布団で止まらず、下の畳まで浸透していることがあります。畳は表面を拭いても、内部(畳床)に染み込んだ汚れが臭気の発生源として残るため、畳床まで染みている場合は、新調(交換)が基本になります。茨城県南の集合住宅の事例では、畳の新調に110,000円(税抜)がかかり、総額は786,500円(税込)でした。当社の試算では、布団だけで済んでいれば60万円前後で、約19万円の差になります。畳を処分しても、畳の下の床板や根太に体液が浸透していれば、においが戻ることがあるため、畳の下の確認も欠かせません。

この記事では、畳を残せるかどうかの判断の目安、新調にかかる費用の考え方、採寸や敷き方などの段取り、畳の下で確認すべき場所を、実際の現場の経験をもとに解説します。

畳に体液が浸透すると、なぜ難しいのか

畳は、表面の畳表と、その内側の畳床が重なった構造です。繊維が複雑に重なっているため、一度体液を吸い込むと、内部まで入り込みやすい素材です。

  • 体液を吸うと、重くなる:畳は体液が浸透すると、持ち上げにくいほど重くなります。重さは、浸透の程度を知る手がかりにもなり、搬出や処分の負担も大きくなります。
  • 表面を拭いても、内部に残る:畳表と畳床の間や、畳床の内部に染み込んだ汚れが、臭気の発生源として残り続けることがあります。
  • カビが生えることがある:水分と体液を吸った畳は、カビが生え、内部の腐敗やカビの進行を止めにくくなります。
  • 洗浄だけでは解決しにくい:床板のようにバイオ洗浄で対応できる素材と違い、畳は、新調(交換)以外での解決が難しくなることがあります。

畳を残せるか、新調するかの判断の目安

判断は、現地で畳の状態を確認して行います。次のような点を、順に見ていきます。

確認項目見るポイント判断の方向(目安)
寝具の状態体液を大量に吸って、持ち上げると重い畳まで及んでいる可能性が高いため、畳の下まで確認する
畳の重さ持ち上げると、通常より重い体液を吸っている可能性があるため、畳床まで確認する
畳表変色、染み、においの強さ染みがあれば、畳床まで確認する
畳床(裏・断面)染み、変色、カビ畳床まで染みていれば、新調(交換)が基本
臭気測定畳の近くで、他の場所より高い数値発生源が畳にあるかを、数値で確認する
畳の下の床板継ぎ目の染み、床下への回り込み床板・床下も確認し、必要な処置を行う

畳表の汚れが軽く、畳床まで及んでいない場合や、建物を取り壊す予定がある場合などは、撤去・処分と消臭で対応できることもあります。畳を新調するか、撤去だけにするかは、汚染の範囲と、建物の使い方(賃貸の原状回復、売却、取り壊しなど)によって変わります。

実例|布団から畳床まで浸透した現場

茨城県南の集合住宅(2DK)で、発見まで約4週間が経過していた孤独死の現場です。現場全体の費用と流れは、石岡市の特殊清掃事例(費用786,500円の内訳)に掲載しています。ここでは、畳に関わる判断に絞って説明します。

状況:布団が、想定以上に重かった

故人様は布団の上でお亡くなりになっていました。現場に入り、布団を持ち上げると、想定以上に重く、体液をかなりの量吸っていることが分かりました。当社の経験では、これほど重くなっている布団の下は、畳まで浸透していることが多くあります。

判断:畳表から畳床まで、体液が染みていた

布団をめくって確認すると、畳の表面から、その下の畳床にかけて、体液の染み込みがありました。この時点で測定したにおいの強度は335でした。畳床まで染みていたため、畳は新調(入れ替え)と判断し、床板はバイオ洗浄で対応しました。

並行した工程:畳の手配と脱臭

畳の新調は、業者の手配や納期の兼ね合いがあるため、遺品整理や床板の消毒と並行して段取りを組みました。脱臭は、科学的脱臭、バイオ脱臭、高濃度オゾン(7日間)、無光触媒コーティングを組み合わせ、作業後のにおいの強度は5まで低減しました。作業期間は約1ヶ月半でした。

畳の新調にかかる費用の考え方

この現場では、畳の新調が110,000円(税抜)でした。畳の費用は、次のような要素で変わります。

  • 畳の枚数と大きさ(部屋の広さ、畳の規格)
  • 畳の種類(い草、和紙、樹脂系など)
  • 古い畳の撤去・処分と、新しい畳の搬入の費用
  • 畳の交換に伴う、追加の脱臭工程
  • 畳店の採寸・製作・納品にかかる日数(作業期間にも影響します)

上の金額は、あくまで1つの現場の実績です。畳の枚数や種類が違えば、金額も変わります。

布団だけで済んだ場合との比較(当社の試算)

布団のみで済んだ場合畳の新調まで必要だった場合
総額60万円前後(当社の試算)786,500円(税込・実績)
畳の新調不要110,000円(税抜)
追加の脱臭工程一部が不要畳に対する工程が必要

試算と実績の差は約19万円です。体液が布団の内側で止まるか、畳まで届くかは、発見までの期間のほか、季節、体液の量、床材の状態によって変わります。

費用全体の考え方は、料金ページをご覧ください。

畳の新調で見落とされやすい段取り|採寸・畳店・敷き方

畳は、既製品を買ってきて置けば済むものではありません。新調するときは、次の段取りが必要になります(現場により異なります)。

寸法を測らないと、入らなくなることがある

畳は、部屋や敷く位置によって、寸法が微妙に異なることがあります。採寸をせずに畳を用意すると、入らなくなることがあります。畳の新調では、寸法を測る工程を、段取りに入れる必要があります。

採寸は、畳店が行う

畳の寸法を測るのは、畳店(畳屋さん)です。体液の処置や撤去の工程と、畳店の採寸・製作・納品の日程を、調整しながら進めます。この日数が、作業期間にも影響します。石岡市の事例でも、畳の手配と納期の兼ね合いから、他の工程と並行して段取りを組みました。

縁起を担ぐ敷き方がある

畳には、縁起を担ぐ敷き方があります。一般に、慶事向けの「祝儀敷き」と、弔事向けの「不祝儀敷き」があるとされます。新しい畳を敷くときは、元の敷き方や、オーナー様・ご遺族様のお考えを、畳店とともに確認します。

畳の撤去のみで対応した事例もあります

板橋区志村の事例では、畳の解体処分のみで消臭に対応しました(板橋区志村の特殊清掃事例)。畳を新調するか、撤去だけにするかは、現場の状況と、お部屋のその後の使い方によって変わります。

畳を処分しても、においが戻ることがある|床板・根太の確認

畳を処分したり、新調したりしても、畳の下の床板や根太に体液が浸透していれば、においが戻ることがあります。体液は、畳の下の床板の継ぎ目から、さらに下へ回り込んでいることがあるためです。畳を外したあとは、床板の裏、根太、床下のコンクリートや土間まで確認し、必要な処置を行ってから、新しい畳を敷くことが大切です。確認の方法は、特殊清掃をしても臭いが残る原因で詳しく解説しています。

賃貸の場合の考え方

賃貸物件の畳は、貸主(オーナー様)の設備であることが多く、交換する場合は、管理会社やオーナー様への連絡が必要になることがあります。費用の負担は、賃貸借契約の内容、孤独死保険などの加入状況、個別の事情によって異なります。まずは、管理会社・オーナー様に連絡し、保険の加入状況を確認してください。孤独死保険の仕組みは、孤独死保険の解説ページでご案内しています。

体液が付いた畳・布団について、ご自身でできること・避けたいこと

  • 触らず、運び出さない:体液が付いた畳や布団は、非常に重く、感染や害虫のおそれもあるため、専門業者にご相談ください。
  • 消臭剤で上書きしない:一時的に和らいでも、畳の内部に発生源が残っていると、季節や湿度で臭いが戻ることがあります。
  • 処分方法を確認する:体液が付いた畳や布団は、通常のごみとして出せない場合があります。自治体や専門業者に確認してください。
  • 洗剤を混ぜて使わない:塩素系の洗剤と酸性の洗剤を混ぜると、有害なガスが発生するおそれがあります。

畳の体液浸透に関するよくある質問

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畳は洗えば、そのまま使えますか?

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畳表の軽い汚れなら、拭き取りで対応できることもありますが、畳床まで体液が染みている場合は、洗浄だけで臭いを取るのは難しくなります。現地で畳の状態を確認し、残せるかどうかをご説明します。

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畳を処分・新調すれば、臭いは消えますか?

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畳が発生源の場合は改善しますが、畳の下の床板や根太に体液が浸透していると、においが戻ることがあります。畳を外したあとに、床板の裏や根太、床下まで確認することが大切です。

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畳の新調には、どのくらいかかりますか?

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畳の枚数や種類で変わります。上でご紹介した現場では、畳の新調が110,000円(税抜)でした。正確な金額は、現地調査でお見積りします。

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畳の寸法は、いつ、誰が測りますか?

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畳店(畳屋さん)が採寸します。畳は寸法を測らないと、入らなくなることがあるためです。体液の処置や撤去の工程と、畳店の日程を調整しながら進めます。

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畳には、縁起を担ぐ敷き方があると聞きました。

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一般に、慶事向けの「祝儀敷き」と、弔事向けの「不祝儀敷き」があるとされます。新しい畳を敷くときは、オーナー様やご遺族様のお考えをうかがい、畳店とともに確認します。

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賃貸の畳の費用は、誰が負担しますか?

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賃貸借契約の内容や、保険の加入状況、個別の事情によって異なります。管理会社・オーナー様へのご連絡と、保険会社への確認をおすすめします。必要に応じて、弁護士などの専門家にもご相談ください。

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フローリングの部屋でも、布団の下まで確認しますか?

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はい、床材にかかわらず、布団の重さや汚れの広がりを見て、その下まで確認します。フローリングの場合は、継ぎ目から下地の合板まで染み込むことがあります。水戸市の事例では、床下の合板まで浸透していました(水戸市の特殊清掃事例)。

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畳の新調で、作業期間は長くなりますか?

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畳の手配や納期の分、日数が増えることがあります。当社では、遺品整理や床板の消毒など、他の工程と並行して段取りを組みます。石岡市の事例では、全体の作業期間は約1ヶ月半でした。

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お問い合わせ

畳や布団に体液が染みている、畳を残せるか知りたいなど、お困りの内容をお聞かせください。現地調査・お見積りは原則無料です。茨城県・東京都を中心に対応しています(対応エリア)。

※本記事の費用・数値は、特定の現場の実績や当社の試算です。においの強度は、測定器の表示値(0〜999・単位なし)で、濃度(ppm)ではありません。詳しくは臭気測定の数値の見方をご覧ください。建物の構造や状況によって結果は異なります。保険の適用や費用の負担は、契約内容や状況によって異なります。