この記事の結論:特殊清掃のあとも臭いが残る主な原因は、目に見える範囲の外に、体液が残っていることです。当社の経験では、床板の裏、床板の下の根太、床下のコンクリートや土間、クッションフロア(CF)のにじみ、床板を押さえていた釘の穴の中が、見落とされやすい場所です。茨城県南の集合住宅の事例では、床板を洗浄しても臭気が落ちず、床下を確認したところ、継ぎ目から土間へ少量の体液が垂れていました。土間にバイオ脱臭を行い、複数の脱臭工程を組み合わせた結果、測定器が示すにおいの強度は335から5まで低減しました。
この記事では、臭いが残りやすい場所、実際の現場で原因を突き止めた過程、見落としを防ぐ確認の方法を、現場の経験をもとに解説します。
目次
見落としやすい6つの場所|床板の裏から釘穴の中まで
特殊清掃で床の表面を洗っても、臭いが残る現場があります。理由の1つは、体液の性質です。流れ出した直後の血液はさらさらとしていて、床材の継ぎ目のような細い隙間にも入り込みやすく、短い時間で下へ届くことがあります。時間が経つと血液は固まり始めますが、固まる前に下へ入り込んでいれば、床の表面からは分かりません。そのため、発見までの期間が短い現場でも、継ぎ目の下まで確認が必要になることがあります。
当社の経験では、次の場所が見落とされやすく、床板を外して確認することが多くあります(建物の構造や床材によって異なります)。
| 場所 | 起こりうること | 確認の方法 |
|---|---|---|
| 床板の裏 | 表面を洗っても、継ぎ目から回り込んだ体液が裏面に残る | 床板を外して、裏面の染みと臭気を確認する |
| 床板の下の根太 | 床板を支える木材に、体液が染み込む | 根太の染みや変色、臭気を確認する |
| 床下のコンクリート | コンクリートは多孔質で、表面や細かな隙間に体液が残ることがある | 床下の表面を確認し、臭気を測定する |
| 床下の土間 | 継ぎ目から垂れた体液が染み込み、奥まで残る | 点検口や床板を外して、直接確認する |
| クッションフロア(CF)のにじみ | 継ぎ目や端部から体液がにじみ、下の下地まで回る | 継ぎ目・端部をめくり、裏面と下地を確認する |
| 床板を押さえていた釘の穴の中 | 小さな穴を伝って体液が入り込み、中に残る | 釘穴まわりの臭気を確認し、必要に応じて処置する |
このほか、寝具・畳の下、壁の内部や押入れ、配管・排水まわり、エアコンも、臭気が残る場所になりえます。配管や排水に原因がある場合は、腐敗臭の排水管洗浄が必要になることもあります。
実例|床板を洗浄しても臭気が落ちなかった現場
ご紹介するのは、茨城県南の集合住宅(2DK)で、発見まで約4週間が経過していた孤独死の現場です。現場全体の費用や作業の流れは、石岡市の特殊清掃事例(費用786,500円の内訳)でご覧いただけます。ここでは、臭いの原因を探した部分に絞って説明します。
状況:布団から畳、そして床板へ
故人様は布団の上でお亡くなりになっており、体液は布団から畳まで浸透していました。現地調査で臭気測定器を使ったところ、においの強度は335という高い数値でした。畳は新調し、床板はバイオ洗浄で対応しました。
問題:洗浄後も、強い臭気が残る
床板の洗浄を終えても、室内には強い臭気が残っていました。見える範囲の汚れは処理済みだったため、「どこかに見落としがある」と考え、床下の確認に進みました。
原因:床板の継ぎ目から、土間へ垂れていた体液
床下を確認すると、床板の継ぎ目から下の土間へ、体液が垂れていたことが分かりました。量はごくわずかでしたが、土間は一度奥まで染み込むと、表面を洗うだけでは臭いが取れにくい場所です。この現場で原因だったのは土間でしたが、他の現場では、上の表のような場所が原因になることもあります。
対応:土間にバイオ脱臭を行い、培養期間を設ける
土間には、土壌改良の技術を応用した、特殊酵素配合のバイオ脱臭を行いました。バイオ脱臭は、すぐに効果が出る処置ではありません。湿度や温度を調整しながら、約1週間の培養期間を置き、微生物の働きで、染み込んだ有機物の分解を進めます。
結果:においの強度は335から5へ低減
土間への処置に加え、科学的脱臭、高濃度オゾン(7日間)、無光触媒コーティングを組み合わせ、作業後のにおいの強度は5まで低減しました。複数の工程を組み合わせた結果であり、土間への処置だけで数値が下がったという意味ではありません。

なぜ表面の洗浄や消臭剤だけでは残るのか
臭いの原因は、空気中の成分だけとは限りません。建材や土に染み込んだ有機物が、臭気の発生源として残り続けることがあります。そのため、次の点が重要になります。
- 汚れの出発点から、下へ辿る:寝具・畳・床板・床下という順に、体液がどこまで届いているかを確認します。
- 発生源に作用する処置を選ぶ:空間に働くオゾンと、建材や土の内部に働くバイオ脱臭など、処置ごとに得意な対象が異なります。複数を組み合わせることで、それぞれの弱点を補えます。
- 数値で確認する:臭気測定器の表示値を、施工前後の同じ場所で比べると、残りの有無を客観的に判断できます。
見落としを防ぐ、確認の手順
- 臭いが強い場所を、複数の箇所で測定する(床面、水回り、部屋の隅、天井付近など)
- 汚れの出発点(寝具・畳など)から、床板・巾木・押入れへと範囲を広げて確認する
- 床材の継ぎ目や端部(CFの場合はめくって)、床板を押さえていた釘穴のまわりも確認する
- 洗浄後も数値や臭いが残る場合は、床板を外して、裏面・根太・床下のコンクリートや土間まで確認する
- 原因に合わせた処置を行う(建材の交換、バイオ脱臭、オゾン処理など)
- 同じ箇所で再び測定し、数値で結果を確認する
業者に確認しておきたい質問
特殊清掃のあとも臭いが残ったり、これから依頼する業者を選んだりするときは、次の点を確認すると安心です。
- 臭気測定器で、作業の前後に数値を確認してもらえるか
- 洗浄後に臭いが残った場合、床下や壁の内部まで原因を確認してもらえるか
- 見積りの範囲外の作業が必要になったとき、事前に説明し、了承を得てから進めてもらえるか
- 作業内容と金額が、項目ごとに見積書へ記載されるか
業者選びの考え方は、特殊清掃・遺品整理の業者選びで後悔しないためにでも解説しています。
臭いが残っているとき、ご自身でできること・避けたいこと
- 体液に触れる作業は、ご自身で行わない:感染や害虫のおそれがあるため、専門業者にご相談ください。
- 消臭剤での上書きに頼りすぎない:一時的に和らいでも、発生源が残っていると、季節や湿度で戻ることがあります。
- 洗剤を混ぜて使わない:塩素系の洗剤と酸性の洗剤を混ぜると、有害なガスが発生するおそれがあります。
- 近隣への配慮:窓を開けて換気する場合は、近隣への臭気にも気を配ってください。
- 賃貸物件の場合:管理会社やオーナー様へ連絡し、孤独死保険などの加入状況を確認してください。
保険の仕組みは孤独死保険の解説ページでご案内しています。
臭気が落ちないときのよくある質問
特殊清掃をしたのに臭いが残るのはなぜですか?
見える範囲を清掃しても、床板の継ぎ目の下や床下、壁の内部などに体液が残っていると、そこが臭気の発生源になります。原因の場所を確認し、その場所に合った処置を行う必要があります。
床下や土間まで確認してもらえますか?
当社では、床板を洗浄しても臭気が残る場合など、臭気の状況に応じて、床板の裏や根太、床下のコンクリート・土間まで確認します。建物の構造によって確認できる範囲が異なるため、現地調査のうえでご説明します。
クッションフロア(CF)の部屋でも、下まで確認しますか?
CFは継ぎ目や端部から体液がにじみ、下の下地まで及ぶことがあります。表面に染みが見えなくても、臭気の状況に応じて、めくって裏面や下地を確認します。
血液は時間が経つと固まると聞きました。早く発見されれば、床下まで届かないのではないですか?
流れ出した直後の血液はさらさらとしていて、固まる前に床の継ぎ目などから下へ入り込むことがあります。そのため、発見が早い場合でも、状況に応じて継ぎ目の下まで確認します。
臭気測定の数値は、どう見ればよいですか?
測定器の表示値は目安で、温度・湿度・測定箇所によって変わります。作業の前後で、同じ箇所を同じ条件で比べることが大切です。数値の意味は、作業のご報告の際にご説明します。
作業後に、臭いが戻ることはありますか?
季節や湿度の変化で、臭いが戻ったと感じられる場合があります。多くは、処置が届いていない場所に原因があります。気になる場合は、まずご連絡ください。状況を伺い、確認いたします。
他の業者が清掃したあとの、臭い残りも相談できますか?
はい、ご相談ください。現地で臭気を測定し、原因がどこにあるかを確認したうえでご提案します。
費用はどのくらいかかりますか?
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お問い合わせ
清掃後も臭いが残る、床下まで確認してほしいなど、お困りの内容をお聞かせください。現地調査・お見積りは原則無料です。茨城県・東京都を中心に対応しています(対応エリア)。
※本記事の数値は、特定の現場での測定値です。においの強度は、測定器の表示値(0〜999・単位なし)で、濃度(ppm)ではありません。詳しくは臭気測定の数値の見方をご覧ください。建物の構造や状況によって結果は異なります。保険の適用や費用の負担は、契約内容や状況によって異なります。
