20代女性の孤独死|自宅死の現場から見えたこと

20代で孤独死した女性が教えてくれたこと

  • 「若いんだから死ぬわけないじゃん」
  • 「リアルが充実しているから大丈夫」
  • 「離れていても連絡は取ってるから大丈夫」

結論

20代という若さがあっても、孤独死は起こります。発作や体調不良による突然死、無理なダイエットの末に引き起こされる心筋梗塞、そして報道ではほとんど取り上げられない「餓死」これらは、決して他人事ではありません。

ひとごとだと思わないでほしい

「若いから死なない」と思い込んでいる方が増えていますが、いつ誰が孤独死(自宅死)の当事者になるかわからない時代です。報道の側にも、スポンサーへの配慮などから伝えにくい事情があるのかもしれません。

「食べ物に困らない国で餓死なんてあるはずがない」という声も聞きますが、女性の孤独死において餓死は決して珍しいケースではありません。

きれいになりたい、痩せたいという思いの先に、何も口にできなくなってしまう状態があります。体力は少しずつ失われ、体は理想の姿に近づいているように見えても、内臓はすでに限界を超えていた。そうした現場に、私たちは何度も立ち会ってきました。

食べ物や飲み物が家にあっても、極端な糖質制限をしている方は少なくありません。体をいたわるための糖質制限と、痩せるためだけの糖質制限とでは、体への負担がまったく違ってきます。

体重が落ちていく過程はうれしいものかもしれませんが、一線を越えてしまえば過度なダイエットに陥ってしまいます。トレーナーなど管理してくれる人がいれば良いのですが、自己流でネットの情報だけを頼りに進めてしまうと、誰にも止められないまま突き進んでしまうことがあります。そこには、命に関わる大きなリスクが潜んでいます。

時代とともに、若い女性が誰にも看取られずに亡くなるケースは増えてきています。正式な統計は取られていませんが、現場を見る限り、病気というよりも突発的な体調変化によって命を落としているケースが多いという印象を受けています。

突然、命をなくす病

ポイント

  • 心筋梗塞
  • 狭心症

突然死を起こす恐れのある13個のチェック要因

  • 運動に関連した胸の痛み・締め付け感や圧迫感
  • 原因不明のめまいや失神
  • 極度の息切れ・動悸(どうき)
  • 病院などで心雑音を言われたことがある
  • 血圧の不安定な上昇
  • 体を動かすことに制限されたことがある
  • 心臓検査を受けるように言われていたが受けていない
  • 家族間で遺伝が疑われる可能性がある
  • 家族に心臓病で亡くなった人がいる
  • 不整脈がある
  • 大腿動脈(だいたいどうみゃく)の拍動
  • マルファン症候群の兆候
  • 座った状態での上腕動脈の血圧

すでに医師にかかっている方もいるかもしれませんが、上記に当てはまる項目がある方は注意が必要です。これは、現場に残された薬や説明書きなどから見えてきた、心臓突然死のリスク要因の一例にすぎませんが、それでもこれほど多くの注意点があることに私たちも驚かされました。

若い女性が突然亡くなっている場所として多いのは、帰宅して間もない玄関やベッドで就寝中、なかでもベッドでの就寝中というケースの割合が高いように感じます。

心筋梗塞や狭心症は、ストレスなどによって心臓に負担がかかり、ある日突然発作を起こして倒れてしまいます。手当てが遅れれば、そのまま帰らぬ人となってしまう。現在の医療では、発見が早ければ70%程度の蘇生の可能性があるとされていますが、現実はその通りにいかないことも多く、それほどまでに「発見の早さ」が明暗を分けます。

日本では毎年5万人から7万人が心臓の突然死で命を落としているとされ、スポーツ選手など普段から心臓に負担をかけやすい人ほど、そのリスクが高い傾向にあります。

ストレスによる負担は、本人も気づかないほど静かに、じわじわと積み重なっていきます。私たちが見てきた若い女性の孤独死の現場は、会社帰りや友人との時間、家でくつろいでいる最中など、何の予兆もないような日常の延長線上にありました。不思議なことに、そうしたケースでは家族や友人による発見が比較的早いことが多いのも特徴です。

なぜ発見に至ったのかをご遺族に伺うと、「たまたま連絡を取ろうとしたら電話に出なかったので、胸騒ぎがして部屋を訪ねたら亡くなっていた」という話をよく耳にします。

発見が早いぶん、腐敗はそれほど進んでいないことが多いのですが、それでも死臭は部屋に漂っています。窓を開けても壁紙などに臭いが染み付いていることが多く、部屋に入ればすぐにわかります。

孤独死というと高齢者のイメージが強いかもしれませんが、実際には若い世代の孤独死も増えているのが現状です。

もし心臓の病気に不安がある方は、床にスノコを敷き、その上に防水シートを敷き、さらにスノコを重ねてからマットレスや布団を敷いておくと、万が一の際に体液が床にしみ込むことを防げます。もしもの備えとして知っておいていただきたい方法です(具体的なシートの敷き方は一人暮らしの人がシートでできる孤独死対策でも詳しく解説しています)。

親よりも先に子供を亡くし、悲しみに沈んでいるところへ「床を汚してしまって」と大家さんから言われてしまう現場を、私たちは何度も見てきました。そうした事態でご家族をこれ以上悲しませないためにも、生前からの備えはとても大切です。原状回復にかかる費用の実態については、孤独死の清掃費用についてでも詳しくまとめています。

なぜこの現実は表に出てこないのか

その理由は、ご遺族の心情を思えば想像がつくはずです。どんな親であっても、我が子が先に旅立ってしまうことは深い悲しみを伴います。まして「孤独死」という心ない言葉で表現されてしまえば、そのことを隠したくなるのは当然のことでしょう。

そもそも「孤独死」「孤立死」という言葉は、2000年頃からマスコミや行政の間で使われ始めた造語です。しかし現場を知る私たちや、ご遺族にとっては、遺族を傷つけ悲しませる言葉でしかありません。

私たちは、自宅で亡くなったのだから「孤独死」ではなく「自宅死」と表現するようにしています。そのほうが、より自然な言葉ではないかと考えているからです。

若い女性の孤独死現場に見られる3つの生活状況

  • 偏食をしている(栄養のないものなど偏った食事)
  • いつもスケジュールをいっぱいにして休息日を取らない
  • 極度にストレスを感じている

偏食が背景にあると思われる現場では、キッチンに調理道具がほとんどなく、必要最低限の食器しか見当たらないことが多い印象です。冷蔵庫には飲み物しか入っておらず、作り置きの食事などはなく、主食はお菓子やファストフードのサイドメニューといったものが目立ちます。

「常にスケジュールを詰め込んで休息日を取らない」というのは、自分の予定だけをこなしているなら問題はありませんが、ひとりの時間を持ちたくても友人が家に集まってきて盛り上がってしまい、結局自分の時間が取れないまま眠るだけの日々が続いてしまうケースもあります。友人が来ない日はDVDなどを見て過ごし、気づけば睡眠不足が慢性化してしまうこともあるようです。

「極度のストレス」は、社会的なプレッシャーや職場でのストレスなど、思うようにいかない現実の積み重ねから来るものです。一人暮らしをしながら生活のために働き、気を張り詰めた状態で帰宅すると、家事をする体力すら残っていない。そうして玄関の鍵を閉めた途端に体調を崩し、そのまま亡くなってしまうケースもあります。

死因として「孤独死」という診断名は存在しません。かつては「誰かに看取られながら死ぬ」ことが当たり前とされていた時代もあり、そうした感覚を持つ世代からすれば、誰にも看取られず、数日経ってから発見されるという死に方は、めずらしく映るのかもしれません。

いずれにしても、若い女性の孤独死の背景には、さまざまな外的要因と、自分自身をコントロールしきれなくなってしまう内的要因の両方があるように感じています。

る体力さえもない人が玄関を閉めた途端に具合が悪くなってそのまま帰らぬ人になってしまうケース。

「孤独死」の正確な統計は存在しない

年間約3万人が誰にも看取られずに自宅で亡くなっているという数字が語られることがありますが、これは東京都監察医務院などによる明確な統計に基づくものではありません。監察医務院では、突発的に亡くなり死因が特定できない場合は「異状死」として扱われます。それにもかかわらず、なぜマスコミや行政が「孤独死」「孤立死」という言葉を使い続けるのか、私たちには疑問が残ります。

「誰にも看取られず亡くなった」という悲惨さを伝えたいのか、あるいは「社会的に孤立していた」ということを表現したいのか。その意図がいまひとつ理解できません。子供を自分より先に亡くしてしまったご遺族に対して、その言葉がふさわしいとは、私たちには到底思えません。

なぜなら、多くの現場では友人がいて、駆けつける家族がいて、つい昨日まで普段どおりに暮らしていた。そうした故人の部屋ばかりを、私たちは見てきたからです。

実際に孤独死という経験をされたご遺族が、時間が経ってようやく話してくださったことがあります。

  • なぜ、あの時に気づいてあげられなかったのだろう
  • もっと声が聞きたかった
  • 一緒に暮らしていればよかった
  • 自分が代わってあげられたら
  • 「仕方がない」とは思えない

こうした気持ちから来る「罪悪感」を、何年も抱え続けているご遺族は少なくありません。涙を流し尽くしても、悲しみに暮れる日々を過ごされていると伺ったとき、私たちはとっさに言葉が出てきませんでした。

家族や友人と連絡を取り合っていたにもかかわらず、発見までにわずか2〜3日だっただけで「孤独死」と呼ばれてしまう。孤独ではなかったはずなのに、孤独死。この違和感を、私たちは大切にしたいと思っています。

生きている側と、遺された側とでは、感じ方も言葉の表し方もまったく違います。もっとも怖いのは「生きている側の人間」だという言葉には、実感がこもっています。都合の良い空想だけで物事を捉え、現実から目を背けてしまうことは、生き物としての本能を見失っているようにさえ感じます。

人が幸福を追い求めるあまり陥ってしまう最大の過ちは、生き物である以上避けられない「死」という事実を、忘れてしまうことなのかもしれません。

これは、メディアがあまり報じないこと

突然の病気で亡くなる孤独死。その中には、病気ではなく、今の日本では想像しにくい亡くなり方をしているケースもあります。それが、

餓死です。

児童虐待による餓死のニュースは目にすることがあっても、成人した女性が餓死で亡くなっているという事実は、あまり知られていません。

一定期間発見されなければ孤独死として扱われてしまいますが、餓死は確かに存在する現実です。

なぜメディアで大きく取り上げられないのか。その背景には、豊かなはずの日本で餓死が起きているという事実が世界に伝わることへの懸念があるのかもしれません。男女平等の雇用が謳われる一方で、実際の待遇にはまだ差があるのではないかという疑問も残ります。

餓死に至った部屋には、数日間をしのぐために食べたパンの耳が入った袋や、パック麦茶などが残されていることがあります。それ以外の食料はほとんど見当たらず、パンに塗るマーガリンさえ置かれていないこともあります。いつ命が尽きてもおかしくない、そんな毎日を過ごされていたのかもしれません。

生活保護などの制度に頼るという選択肢もあったはずですが、すでに相談に行っていたのかもしれませんし、何らかの理由で十分な支援につながらなかったのかもしれません。

しかし、誰にも看取られることなく、住まいの中で一定期間発見されなかった。そうした死に方が、「孤独死」というたった三文字で片付けられてしまう現実があります。そこに至るまでの経緯は、亡くなった後には関係ないことにされてしまうのでしょうか。

「孤独死」という言葉をなくしたい

「孤独死を防ぐには見守りが大切」という言葉を見聞きすることがありますが、現場を見てきた私たちからすると、それだけでは不十分だと感じています。孤独死という結果を前提に、遺族の立場に立ったことのない人が「見守り活動が大切だ」と語ることの危うさがあります。

ご遺族の悲しみに触れたことのない人が、他人のプライバシーに踏み込んでいくことがどれほど難しいか、それを知らないまま語られる言葉には、どこか実感が伴いません。

「孤独死」という言葉そのものが、遺されたご家族をさらに追い詰めてしまう場合があることを、私たちは知ってほしいと思っています。だからこそ、この言葉をなくしたい、あるいは孤独死そのものを防ぎたいと考えています。

暮らしが便利になるほど、こうした死に方は増えていくのかもしれません。それでも、決して孤独ではなかった故人に対して、「孤独死」という言葉がふさわしいとは思えないのです。

私たちが数多くの現場を経験し、さまざまな方と意見を交わすなかで感じているのは、「最後は自宅で死にたい」と願う人がほとんどだということです。だからこそ、これからは「自宅死」という表現がふさわしいのではないかと考えています。こうして記事にすることで、死について少しでも知っていただきたい、そして「孤独死」という言葉が遺族を傷つけうることを知っていただきたいという願いを込めています。

そして、水面下で起きている餓死という現実。メディアでは伝えきれない事案だからこそ、私たちは現場で見てきた真実を記事として発信していきたいと思っています。伝えなければ、いつ、誰が自宅死してしまうかは誰にもわかりません。それは、この記事を書いている私たち自身にとっても同じことです。

記事を出さずに「見守りキャンペーン」のような言葉だけで時間が過ぎていくことは、故人が教えてくれたことに対して申し訳なく感じます。だからこそ、これからも伝え続けていきたいと思っています。

今回は「20代の孤独死した女性が教えてくれたこと」として、突然死のほかに餓死という現実があることをお伝えしました。数年のうちに日本の人口の約3割が高齢者になると言われていますが、高齢者だけでなく、若い世代にも自宅死のリスクが迫ってきていることを、少しでも意識していただければと思います。

自宅死の具体例

記事を最後までお読みいただき、ありがとうございました。今回は20代で孤独死された女性のケースについてお伝えしましたが、突然死は女性に限らず男性にも起こりうることです。男性の突然死については、また別の記事で詳しくお伝えできればと思います。

私たちは、死の現場を見てきた立場から情報をお伝えしています。だからこそ、「孤独死」という言葉を軽々しく使うべきではないと考えています。

貴重なお時間を割いて記事をお読みくださり、ありがとうございました。

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よくある質問

q

20代でも孤独死(自宅死)は本当に起こるのですか?

a

はい、起こります。心筋梗塞や狭心症などによる突然死のほか、過度なダイエットの末に体力を失い衰弱してしまうケースなど、若い世代でも自宅で誰にも看取られずに亡くなる例は少なくありません。

q

突然死のリスクに気づくサインはありますか?

a

運動時の胸の痛みや締め付け感、原因不明のめまいや失神、極度の息切れ・動悸、不整脈、家族に心臓病の既往がある場合などは注意が必要とされています。心当たりがある場合は、早めに医療機関へ相談することをおすすめします。

q

なぜ「孤独死」ではなく「自宅死」という言葉を使っているのですか?

a

「孤独死」という言葉は、周囲との関わりが薄かった、社会的に孤立していたというイメージを与えがちです。しかし実際の現場では、家族や友人と連絡を取り合っていたにもかかわらず、発見までにわずか数日で「孤独死」と呼ばれてしまうケースが数多くあります。そうした実情を踏まえ、私たちはより実態に即した「自宅死」という表現を用いています。

q

若い女性の孤独死の現場にはどんな共通点がありますか?

a

偏食など栄養の偏った食生活、休息を取らない生活リズム、極度のストレスといった生活状況が背景にあるケースが見られます。ただし、これらはあくまで現場から見えてきた傾向であり、すべてのケースに当てはまるわけではありません。

q

万が一に備えて、生前からできる対策はありますか?

a

体調不安がある場合は、就寝中の万が一に備えて寝具の下に防水シートを重ねて敷くなど、住まいへの負担を減らす工夫があります。また、家族や身近な人と定期的に連絡を取り合い、いつもと違う様子に気づける関係を保っておくことも大切です。