遺品整理のやり方|準備する道具から分別・処分手順まで

2018/10/13

身内が亡くなったあと、遺品をどう片付ければいいのか。何から手をつければいいのか。ここで悩んでしまう方は本当に多いです。

私は日々現場に立って遺品整理をしているのですが、その経験から、実際に役立つ手順や、事前に知っておいてほしいことをここにまとめておこうと思います。あわせて、体力を使う作業に備えた準備についても触れていきます。

昔と今で、遺品整理はこんなに変わった

10年ひと昔の遺品整理

遺品整理は「10年でひと昔」と言われます。10年前は親族が集まって、故人の思い出話をしながら仕分けをするのが普通でした。親族の数も多く、一人ひとりの負担はそれほど大きくなかったんです。

でも少子高齢化が進んだ今、状況は変わってしまいました。当時、手伝ってくれていた親族自身が高齢になり、昔のように動けなくなっているケースをよく見かけます。

それに加えて、昔の住まいは今ほど設備が整っていなかったこともあり、住人が自分で使いやすいように部屋を改造していることも珍しくありません。この点が、今の遺品整理をより大変にしている理由のひとつです。

作業前に、まずこれだけは準備しておいてほしい

部屋が改造されている可能性がある以上、道具の準備は欠かせません。現場に出ていて感じるのは、最低限これだけあれば大抵の作業に対応できるということです。

  • 段ボール箱、ゴミ袋
  • 軍手・マスク
  • 台車
  • プラスドライバー、マイナスドライバー、ニッパー、ペンチ、カッターナイフ
  • 近隣へのあいさつ(道具ではありませんが、これも準備のうちです)
  • ガムテープ、PPテープ、養生テープなど
  • 屋内用のスニーカー

足りないものが出てきたら、そのつど買い足していけば問題ありません。ここからは、なぜそれぞれが必要になるのかをお伝えします。

遺品整理道具

段ボール箱とゴミ袋

段ボール箱とゴミ袋は、「形見として残すもの」と「処分するもの」を分けるために使います。

写真やアルバムなど持ち帰りたいものは段ボール箱へ、可燃ゴミとして出すものはゴミ袋へ、という形です。

段ボールは、ホームセンターやスーパーで手に入る80サイズ程度で十分です。ホームセンターだと有料になりますが、スーパーのみかん箱サイズなら無料でもらえることが多いので、活用できるなら活用したほうがお金はかかりません。

ゴミ袋は45リットルか30リットルが目安です。ただ45リットルは中身が入るとかなりの重さになるので、体力的にきつくなることも頭に入れておいてください。

可燃ゴミは、数袋で済むことはまずありません。故人が一生を過ごしてきた分の量になるので、100袋前後を見込んでおいたほうがいいと思います。

特殊清掃のお見積りにお伺いする予期のご準備など
山本

ここで一つ注意です。ゴミ袋に詰める作業と、それを集積所まで運ぶ作業は別のものです。入るだけ目一杯詰め込んでしまうと、運ぶときに重くてすぐスタミナが切れてしまいます。運搬まで考えて量を調整しましょう。

遺品のゴミ袋

軍手やマスクなどの衛生対策

長期間誰も住んでいなかった部屋は、掃除が行き届いているとは限りません。カビやホコリへの対策として、手袋やマスクは必ず用意してください。

作業をしていると、どうしても蓄積したホコリが空気中に舞います。喘息などをお持ちの方は無理をしないようにしましょう。

素手で直接触ると、アレルギーでかゆみが出てしまうこともあります。予防のためにも、しっかり装備しておくことをおすすめします。

遺品整理マスク

台車があるとないとで大違い

ゴミ袋を運ぶとき、両手で持てるのは45リットルサイズで2つが限界です。台車があれば、それ以上の量を一度に運べます。

それに部屋には30センチを超える粗大ゴミも出てきます。持ち帰る家具にしても処分する家具にしても、台車がないと話になりません。

マンションなどの集合住宅は部屋から集積所までの距離があるので、台車なしだと何往復もすることになります。台車を使えば二人でやっていた作業が一人でもできるようになるので、ぜひ活用してください。

遺品運搬台車

ドライバーやペンチ、ニッパーなどの工具

先ほども触れましたが、故人の部屋は今どきの設備が整っているとは限らず、生前にDIYで手を加えている方も少なくありません。

棚を釘で打ち付けて作っている方もいれば、電気に詳しい方だと部屋中に配線を張り巡らせていることもあります。

そういう場合に備えて、簡単な工具は用意しておいたほうがいいです。たとえば洗濯機の給水ホースを外すときは、蛇口の給水ホルダーのネジをドライバーで緩める必要があります。

壁に打ち込まれた画びょうはペンチで引っ張れば抜けるので、見つけたら取り除いておきましょう。

遺品整理道具類

近隣へのあいさつを忘れずに

作業中はどうしてもホコリや音が出てしまいます。体調を崩している方や、洗濯物のことを考えると、近隣への一言は大事です。

普段あまり付き合いがなかった相手にあいさつするのは気が引けるかもしれませんが、トラブルになる前に済ませておいたほうがいいです。

マンションなどでは、真下の部屋の方への配慮も忘れないでください。もしその方が夜勤明けで昼間眠っていたら、頭の上でドンドン音がすると気持ちよく眠れません。24時間営業が当たり前になった今、どんな生活をしている方が住んでいるかは外から見ただけではわかりません。だからこそ、階下への音には気を配ってほしいのです。

ガムテープとPPテープ

段ボール箱を組み立てるときはガムテープが必要です。アルバムなどを入れるとかなり重くなるので、底はしっかり貼っておきましょう。

雑誌や書籍を束ねるときは、丈夫なPPテープが役立ちます。ガムテープだけだと途中で切れてバラバラになることがありますが、PPテープは耐久性があるので安心です。ホームセンターでガムテープと一緒に買っておくといいでしょう。

束ねるテープ

スリッパじゃなく屋内用スニーカーを

故人の部屋がきれいに保たれているとは限らないので、素足や靴下ではなく屋内用のスニーカーを用意してください。

なぜスリッパじゃダメなのか。作業中は部屋にあるものを全部動かして処分していくので、壁から外れた画びょうが床に落ちていて、気づかず踏んでしまうことがあるからです。

底が薄いスリッパだと、その針が足の裏に刺さってしまいます。自分がどれだけ気をつけていても、他に作業している人がいれば、その人が落とした画びょうに気づけないこともあります。

それに大きなタンスや食器棚を運び出すときにバランスを崩して、柱に足の指をぶつけることもあるので、素足やスリッパでの作業は避けたほうが無難です。

上履きスニーカー

実際の作業は、大きく3つに分けて考える

道具の準備ができたら、いよいよ実際の作業です。ここでは作業の流れを3つに分けてお伝えします。

やってみると、想像していたよりずっと体力を使うことに気づくはずです。現場でよく耳にする思い違いとしては、

  • 休みを使えば片付くだろうと思ってしまう
  • 部屋が広くないから簡単だろうと思ってしまう
  • 「整理する」ことと「処分用にまとめる」ことを同じだと思ってしまう

こういったものがあります。

まず、形見と処分品を分ける

絶対に手放せない形見があるなら、それを最初に取り分けます。段ボール箱を使って、残すものはそこにまとめていきましょう。

代表的なのは貴重品類です。通帳、印鑑、現金、証書などは、使い終わったからといってすぐ処分せず、手続きが終わるまで自宅で保管してください。

写真やアルバムは、四十九日など親族が集まるタイミングまで保管しておき、みんなで話し合いながら必要なものと不要なものを分けるのがいいと思います。

生活雑貨はほとんどが不要になるので、処分するものはビニール袋に入れて集積所に出しましょう。

次に、可燃・不燃・粗大ゴミへ分ける

形見の分別が終わったら、可燃ゴミ・不燃ゴミ・粗大ゴミへと本格的に分けていきます。分け方は自治体によって多少違いますが、だいたい次のような分類になります。

可燃物

  • 紙類
  • 革製品
  • ビニール類
  • 衣類
  • 食品

不燃物

  • 食器
  • 植木類
  • 金属類
  • 小型家電
  • はさみ

粗大ゴミ

  • タンス
  • 食器棚
  • 三段ボックス
  • イス
  • テーブル
  • 物置

その他

  • ブロック
  • 金庫
  • 消火器
  • 電池

細かいルールは自治体によって変わるので、お住まいの市区町村のホームページなどで随時確認しながら進めてください。

粗大ゴミは30センチを超えるものが対象になることが一般的です。木製の家具は細かく切って30センチ以内に収めれば、可燃ゴミとして出せる場合があります。植木も枝を落としてまとめれば処分しやすくなります。

分別

最後に、集積所へ運ぶ

分別が終わった可燃ゴミなどは、台車を使って集積所へ運びます。集積所は他の世帯のゴミも回収する場所なので、一度に全部出すのではなく、1回あたり5袋くらいを目安に出すようにしましょう。

地域によっては2〜3袋までというところもあるので、常識の範囲内で調整してください。

管理人が常駐しているマンションなら、まとめて保管しておいて回収日にまとめて出してもらえることもありますが、そうでなければ何回かに分けて出す必要があります。

集積所には可燃・不燃をきちんと分けて出さないと収集してもらえず、そのまま残されてしまうので気をつけてください。

粗大ゴミは、市町村の粗大ゴミ受付センターに問い合わせるか、車両があれば予約して直接持ち込む方法もあります。

運ぶ

片付けが終わったら、手続きも忘れずに

部屋の中がすべて片付いたら、今度は手続きです。賃貸物件なら、清掃や原状回復をして退去の手続きをすることになります。

公営住宅は退去の期限が決まっていることが多く、期限を過ぎると家賃が発生してしまうこともあるので、スケジュールはしっかり確認しておきましょう。

持ち家を売却するなら、どこまで自分たちで片付けておくべきか、事前に先方とすり合わせておくとスムーズです。

一人で作業と手続きの両方をこなすのは、正直かなりしんどいです。手続きと現場の作業は分けて進めることをおすすめします。

手続き

仏壇はどうすればいいのか

実家の遺品整理をしていると、仏壇があるご家庭も少なくありません。ここは遺品整理とは少し違う話になりますが、仏壇の扱いについても触れておきます。

親族がそのまま引き継ぐなら問題ありませんが、遠いご先祖のもので、誰の位牌かわからないということもあります。

仏壇や位牌、仏具、神棚、遺骨、墓地などは「祭祀財産」と呼ばれ、一般的な貴重品とは別に扱われます。供養の儀式を済ませてから処分する、というのが基本の流れです。

供養

祭祀財産について

祭祀財産とは、祖先を祀るために使う家系図、位牌、仏壇、墓碑、墓地などのことです。一般の相続財産とは切り離されていて、共同相続の対象にはなりません。承継する人は、故人が指定していればその人が引き継ぎます(指定は遺言に限らず口頭でも構いません)。指定がなければ慣習に従い、それも明らかでない場合は家庭裁判所が定めることになっています(民法897条2項)。

仏壇や位牌を処分するときは、「魂抜き」「お性根抜き」といった儀式を先に済ませておく必要があります。お世話になっているお寺があれば連絡して、日程を組んでもらいましょう。

それでも大変なら、無理せず頼っていい

ここまで読んでいただいてわかる通り、遺品整理には想像以上の労力と時間がかかります。近隣へのあいさつ、音への配慮、重い荷物を運んでの腰痛やケガ、普段は経験しないことばかり起こります。

昔のように親族が総出で分別作業を手伝ってくれる時代ではなくなり、一人で抱え込んでしまう方が本当に増えました。故人を亡くした悲しみに、この負担が重なると、心身にかかる負荷は相当なものになります。

私自身、現場でそういう方々に何度も出会ってきました。少しでもその助けになればと思って、この記事を書いています。実際にやってみると、簡単にはいかないことだらけだと感じるはずです。

業者を選ぶときに気をつけてほしいこと

遺品整理の業界には、専門性の低い業者を寄せ集めただけの一括見積サイトもたくさんあります。特に「業者紹介」型のサイトには注意してください。

こういうサイトを使うと、紹介元と業者の間にマージンが発生して、その分が請求額に上乗せされることがあります。信頼できる業者を選びたいなら、こうした仲介サイトは候補から外したほうがいいです。

チェックしておきたいポイントはこのあたりです。

  • 実務にもとづいた記事や情報発信を続けているか
  • 見積書の内訳がはっきりしているか(追加料金の条件を事前に説明してくれるか)
  • 一般廃棄物収集運搬業の許可など、必要な許可を持っているか
  • 実際に現場に出ているスタッフが対応してくれるか(民間資格の有無より、現場経験の有無で判断したほうが確実です)

業者のブログや記事を見れば、実際に現場をやっているかどうかは伝わってくると思います。悲しみの中で判断するのは大変ですが、業者選びも慎重にやってほしいと思います。

よくある質問

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遺品整理はどのくらい日数がかかりますか?

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部屋の広さや遺品の量によりますが、1LDKくらいなら1〜2日、荷物の多い一戸建てだと数日から1週間くらいかかることもあります。

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可燃・不燃の分別ルールがわからないときは?

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お住まいの市区町村のホームページや分別アプリで確認できます。迷うものは自治体の窓口に聞くのが確実です。

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仏壇はいつ処分すればいいですか?

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魂抜き・お性根抜きの法要を済ませてから処分するのが一般的です。菩提寺や近くのお寺に相談して、日程を決めましょう。

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自分でやるか、業者に頼むか迷っています

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体力や時間に余裕があって荷物が少ないなら、自分で対応できると思います。荷物が多い、遠方で通えない、心身の負担が大きいという場合は、業者への相談も選択肢に入れてください。

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