シートでできる孤独死対策|特殊清掃25年の知見

2021/8/21

ライフハック!?一人暮らしの人がシートでできる孤独死対策?

この記事は、人の死を無駄にしないように現場から教わったことをお伝えしています。これから増えていくであろう孤独死の現場で、少しでも役立つ対策をお伝えできれば、それは亡くなっていった故人への供養にもなるのではないかと考えています。

結論

ベッドなどの寝具の下に防水シートを敷いておくことは、床の損傷を防ぐうえで非常に有効です。発見までに数週間かかったとしても、シートがあれば体液が床材まで染み込むことを防げます。カビやダニ対策も兼ねて、ぜひ実践しておいてください。

孤独死の現場でみたシート対策

一人暮らしで、誰にも看取られないまま亡くなってしまう孤独死。

何も対策をしていなければ、遺されたご家族に原状回復費用という形で負担がかかってしまいます。しかし、事前に対策をしておくことで、その費用を大きく軽減できることが、現場の経験からわかってきました。

「人が亡くなっていた現場には、床に人の形をしたシミが残ってしまう」そう聞くと驚かれるかもしれませんが、これは特殊清掃の現場ではよく目にする光景です。

腐敗が進むと、体組織が崩れて床板にまで浸透し、隙間から床下にまで体液が達してしまうことがあります。ひどい場合には、建物の躯体そのものを傷めてしまうことも少なくありません。

遺体の跡を目にすることは、見る側にとっても大きなショックです。玄関の方向へ助けを求めるように倒れていた跡が残っていると、精神的な負担はさらに大きくなります。

ベッドの下にはシートを敷いておく対策を

私たちは特殊清掃の専門業者として25年以上、数多くの孤独死の現場に立ち会ってきました。近年、熱中症などによる突発的な孤独死が増える夏場に向けて呼びかけているのが「寝具の下にシートを敷いておくこと」です。

敷くなら「防水シート」一択。選び方のポイント

一人暮らしで体調がすぐれない方には、もしもの時に備えてシートを敷いておくことを、SNSなどを通じてお伝えしてきました。ここで大切なのは、どんなシートでも良いわけではないという点です。防水性のない布製のマットや薄手のビニールシートでは体液を防ぎきれないため、必ず「防水」と明記された厚手のシートを選ぶようにしてください。

「自分はまだ死なない」そう思っていても、真夏の熱中症は、眠っている間に静かに命を奪っていくことがあります。

家族や友人との交流が少ない状態だと、発見はどうしても遅れてしまいます。その間に遺体は腐敗が進み、虫や臭いが発生するようになります。

臭いを発する頃には、体液が下へ下へと流れ出しています。床の上から浸透した体液は継ぎ目から床下へと流れ込み、床板にまで達してしまうことがあり、まれに階下の部屋の天井が雨漏りのように変色してしまうケースもあります。

実際の現場で見たシート対策の効果

ベッドの下に染みにならないようにシートが敷いてあった様子
ベッドを移動してみたベッドの下

発見まで3週間、ベッドの下にはほとんど損傷なし

ある現場では、故人はベッドの上で亡くなっていました。発見までに3週間を要し、近所からの異臭に気づいた大家さんが警察とともに部屋を確認し、死亡が確認されました。

ベッドの上は体液を吸って損傷がありましたが、ベッドの下にはそれほど大きな損傷は見られず、置いてあった段ボール箱の下に黒ずんだ体液が確認できた程度でした。

故人はご自身の死を予感していたのかもしれません。事前に備えておくことで、遺されるご家族の負担は確実に軽減されます。

実際にシートが敷いてあた様子
遺体発見まで3週間

シートをめくって確認した体液の浸透具合

この現場では、故人はベッドの上で熱中症をきっかけに亡くなり、ウジやハエが発生してしまうほど発見が遅れたため、本人確認にDNA鑑定が必要になったケースでした。

1枚目のシートをめくり、その下に体液が流れているかを確認したところ、2枚目の敷物には体液の浸透が見られませんでした。

発見までに時間が経過していたため、部屋の中は防毒マスクなしでは長時間いられないほどの臭いでしたが、体液が浸透していなかったのは、ベッドと1枚目のシートが体液の流れをしっかり食い止めていたためです。

シートをめくり、その下に体液が流れているかを確認
シートをめくって裏側を確認

床上の敷物を確認

さらに下の層まで確認を進めると、ここまで来ればほぼ通常の生活空間と変わらない状態になっていました。体液が付着しているかどうかもわからないほど、損傷が見られなかったのです。

一番下に敷かれていたのはイグサ素材の敷物でした。もしシートを敷いていなければ、通気性の良いイグサはあっという間に体液を通してしまっていたでしょう。

体液が付着すると素材はベトベトになり、持ち上げただけで破れてしまうこともあります。それを未然に防げたことは、非常に有効な対策だったと言えます。

床上の敷物には体液の付着なし
床上の敷物は損傷なし

最後に確認した床の状態

床への体液の損傷は見られませんでした。あとは床の洗浄・コーティング・消毒・除菌を行えば、明け渡しにも問題がない状態まで回復できます。

床に遺体の跡がついてしまっている場合は、その部分を切除し、床下まで洗浄・消毒しなければなりません。しかし床の損傷がなければ、ご遺族にとっても大家さんにとっても、修繕費用を大きく抑えることができます。

床を切除して張り替えるとなると、部分的な張り替えでは見た目に不自然さが残るため、結局は全体を張り替えることになり、費用は何十万円から何百万円にもおよぶことがあります。それが不要になるだけでも、大きな負担軽減につながります。

床は損傷がない
床の損傷はなし

床下に体液が流れてしまった場合

一方で、床の隙間から床下にまで体液が流れ込んでしまった場合は、床を剥がしての洗浄・消毒が必要になり、手間も費用も大きく変わってきます。

  • 特殊清掃の費用に加えて、床下の洗浄・消毒費用
  • 床の張り替え費用
  • 工事期間中の家賃保証
  • 空室になってしまった期間の空室保証

こうした事態になると、保証人やご遺族に何百万円もの請求が発生することも珍しくありません。身内にできる限り迷惑をかけないためには、故人が身をもって教えてくれた「シートを寝具の下に敷いておく」という備えが、遺されるご家族にとって大きな助けになるかもしれません。

体液特殊コーティング
床下洗浄・消毒

特殊清掃の専門業者に依頼すれば、時間と費用の無駄がなくなる

孤独死が起きてしまい、困っているご遺族は数多くいらっしゃいます。同時に、大家さんも同じように困っています。なぜなら、放置していても状況が改善することはなく、むしろ悪評が広まり、ご遺族と大家さんの双方が嫌な思いをすることになるからです。

孤独死の特殊清掃は、早急な対応が望ましく、時間をかけて業者を選定している余裕がないケースがほとんどです。しかし、専門知識に乏しい業者も多く存在しており、たまたま選んだ業者の対応が不十分だった、というケースも少なくありません。

費用の目安:初期消毒は3万円、初期作業は10万円が相場

孤独死の発見までに日数が経過していると、臭いが近隣にまで広がり、大家さんや管理会社は連日のクレーム対応に追われることになります。

部屋に入るためには、まず初期消毒を行うことが先決です。放置すると大腸菌が増殖し、便がある場合にはO-157などの腸管出血性大腸菌による感染症を引き起こす危険性もあります。

一般的に、作業前の一時的な処理費用は2万円〜10万円の範囲内が目安です。まずは部屋に安全に入れる状態にすること、そして遺体の跡を目に入れずに済むようにすることが最優先になります。

特殊清掃の工程

  1. 特殊清掃の前処理
  2. 遺品整理&特殊清掃
  3. 脱臭処理&コーティング
  4. リフォーム

特殊清掃の前処理

長期間発見されずに腐敗が進んでいた場合、体液の漏出や大腸菌の発生が考えられます。作業員が安全に部屋へ入るために、まず除菌液を散布します。あわせて、作業日までにできる限り臭いを抑えておかないと近隣からの苦情につながるため、臭いを抑える処置もあわせて行います。

遺品整理&特殊清掃

前処理が終わると、部屋に入って本格的な作業が可能になります。遺品整理と特殊清掃は基本的にセットで行う必要があります。部屋には死臭が残り、搬出する遺品にもその臭いが付着しているため、別々に作業してしまうと本来1回で済むはずの近隣への影響が2回に増え、苦情がさらに大きくなってしまうためです。

脱臭処理&コーティング

遺品整理と特殊清掃が終わると、次は脱臭処理に入ります。脱臭は1日で終わることもあれば、3週間ほど様子を見ながら進める必要がある場合もあります。臭いの除去は簡単な作業ではなく、専門的な技術と経験が求められます。床の表面から体液を取り除いても、継ぎ目から床下まで浸透してしまっているケースがあるため、床を部分的に切除して床下を洗浄し、コーティングまで行わなければ、完全な脱臭には至りません。

リフォーム

特殊清掃の後は、リフォームが必要になります。切除した床の部分や壁紙の張り替え、破損箇所の修繕などを経て、部屋は元の状態へと戻っていきます。床の張り替えだけでも40万円〜120万円程度、部屋のほとんどを修繕する場合は200万円〜300万円程度の費用がかかることもあります。

孤独死の特殊清掃自体は30万円〜50万円程度が標準的な相場ですが、実際に最も費用がかさむのはリフォーム代です。故意でない損傷であれば大家さんとの話し合いで修繕費用を決めていくことになりますが、意図的に部屋を改造してしまっていた場合は、ご遺族が責任を負うことになります。

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よくある質問

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シートはどこに敷けばいいのですか?

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就寝時に使うベッドや布団の下に敷いておくのが基本です。体液が床材まで浸透するのを防ぐため、防水性のあるシートを寝具の下に一枚敷いておくだけでも効果があります。

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シートを敷いておくと、どのくらい費用を抑えられますか?

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床への体液の浸透を防げれば、床の切除・張り替えが不要になる可能性があります。床の張り替え費用は40万円〜120万円、部屋全体の修繕になると200万円〜300万円かかることもあるため、シート一枚で数十万円単位の負担を防げる場合があります。

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なぜ夏場は特に注意が必要なのですか?

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夏場は熱中症による突発的な孤独死が増える傾向があります。気温が高いぶん遺体の腐敗も早く進みやすいため、発見が遅れるほど体液の漏出や臭いの被害が大きくなりやすい時期です。

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特殊清掃にはどのくらいの費用がかかりますか?

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初期消毒だけであれば3万円程度、初期作業全体では10万円前後が目安です。特殊清掃自体は30万円〜50万円程度が標準的ですが、床の張り替えなどリフォームが必要になった場合は、費用がさらに大きく膨らむことがあります。

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特殊清掃は自分で依頼先を選んでも大丈夫ですか?

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早急な対応が必要になる場面が多いため、時間をかけて業者を比較検討する余裕がないことがほとんどです。しかし、専門知識に乏しい業者に依頼してしまうと、十分な対応が受けられないケースもあります。経験豊富な専門業者への依頼をおすすめします。