浴室の特殊清掃

特殊清掃員も驚くお風呂で孤独死したドロドロのにおいとは⁉

2021年12月25日

2025年、800万人が後期高齢者と言われる、いわゆる「団塊の世代」75歳以上の超高齢化社会が訪れてきます。いままでの暮らしからさまざまな分野で備えておかなくてはならないことが起きる可能性を秘めている時代になりますが、私たち特殊清掃員が感じることは、不慮の死(浴槽内での溺死)を心配しています。

総人口の統計
専門家:橋本俊哉

認定遺品整理人:橋本 俊哉

認定番号 00082 号

年間750件以上の遺品整理や孤独死の特殊清掃に携わり現場の知見から情報を発信し、孤独死のメカニズムやソリューション開発などを発信し、

デジタル時代に早期発見できるシステム開発に役立てればと奮闘しています。

ヒートショックがもたらす命の危険

ヒートショックの悲劇
ヒートショックによる溺死でドロドロな浴室のミニチュア

高齢者の一人暮らしは、たとえ元気に暮らしていたとしてもほんの一瞬で命を失う可能性があるということを知ってほしい。それは、部屋との温度差によるもので「部屋と脱衣所の気温」に差があり、湯船につかれば一気に血圧が変化して気を失ってしまい前方からお湯の中に倒れ溺死するケースだ。

2025年から超高齢化社会になり2042年までは増え続ける時代で今までの浴槽では高齢者には深すぎて、足を滑らせたりすれば溺死に至ってしまうケースは少なくない。毎年のように現実で起きている浴槽での死なのです。

早めに見つかれば姿形が変わった遺体をみることはありませんが、何週間、何カ月といった長期間になれば湯船はドロドロで、水の腐った臭いと、カビが繁殖した臭い、肉片が腐った臭い、いわゆる鼻の奥をつく強烈な死臭を嗅いでしまうことがあります。

そうならないためにも、浴槽にはいっぱいのお湯を張るのではなく浅めの浴槽に変えたり、半分くらいの湯量で入るほうが溺死への危険度は少なくなります。ヒートショックは長湯によっても引き起こされるもので足にたまった血液がお風呂から上がった瞬間に脳へといきわたるのに時間が掛かったりすることで、ふらつきや失神などを引き起こしてしまいます。

そのまま栓を抜けば詰まる

浴室の清掃
浴槽の清掃の様子

浴槽の中で亡くなってしまって発見まで月日が経過してしまうと、どす黒く濁った水の中に遺体が沈んでいるような光景になってしまいます。普段の日常では見ることのない非日常的な光景ですが発見した場合、目に飛び込んでくる衝撃は寝ていても夢をみるほどのショックを覚えると思います。

次に、浴槽で亡くなった場合の臭いですが、孤独死の特殊清掃の中でもいちばん臭いがきつく従事しているスタッフでさえも吐いてしまいそうなくらい独特のにおいがするため、防毒マスクをしながらの作業となる。

しばらくたって浴槽内で発見された遺体はふやけてしまって肉片が浴槽の底に落ち、まるでヘドロのような状態になっているため安易に栓を抜いてしまうと、浴槽の水抜き栓は細く作られているために途中で肉片が詰まり流れなくなるので、バケツでどす黒い水をすくってはトイレに流したりして対処していく。トイレは浴槽とちがって配管への流れが直通になっているため詰まりにくい構造になっている。

一通り、浴槽内の水をバケツですくいながらトイレへ流したら、配管の洗浄をするために高圧洗浄の機械を使用し配管内の臭い取りも消臭液などを使用して取り除いていきます。

清掃の有無によっては数百万円の請求がくることも

特殊清掃をするということはその後の大家さんとのトラブルの回避にもつながってきます。

浴室で亡くなったとしても長期間そのままの状態にしておけば部屋中に臭いが染みついてしまって脱臭期間も伸びるほか、浴室以外の原状回復も請求されてしまうからです。長期間放置とみなされ壁紙や浴室のフルリフォーム、そして資産価値を気にする大家さんはその請求も一緒にするケースを見てきました。

もちろんすべて請求通りに支払う必要はありませんが、遺族は家族を亡くして悲しい日々の中、大家さんとのトラブルで体力を使いたくないひともいて請求金額を支払えば丸く収まるのならもめたくないので、泣き寝入りしてしまう人も少なくありません。

2020年4月に国土交通省から発表されたガイドラインもございますが、古くから個人経営の大家さんではその内容を知らない人もいて孤独死のような「自然死であっても1,000万円以上の過剰な請求をする相談にも乗ってきた」と特殊清掃専門家の増田氏は話す。

https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/content/001405362.pdf

特殊清掃専門家:増田
特殊清掃専門家の増田氏

21年前に遺品整理と特殊清掃業を創業した増田氏はいままで多数の現場にたずさわり、その中でご遺族と大家さんのトラブルを目のあたりにして、時には自信が巻き込まれ大家さんから罵声を浴びせられることもあったという。

数多くの現場を見てきてわかってきたことは、日本の建築が洋風へ変化していること。

ヒートショックで亡くなる人が年々増えている中で、建築上の構造がかわり増やしている要因の一つでもあると話す。なぜなら、日本の昔の建築物は右からも左からも明けられる「引き戸」などが使われていたが、現代の建築は玄関から部屋の中までがすべてドアで仕切られている。

引き戸はガラスや障子などで薄く作られていて一つの部屋が暑くなってもそのほかのところへ暖気が伝わるようになっているが、ドアは空気の流れもすべて遮断してしまう。

部屋を暖かくしても脱衣所へ暖気が逃げて行ったりする引き戸とは違い、ドアは部屋だけを閉鎖空間として温め続けるのでドアをあけて脱衣所へ行こうものなら寒暖差の変化がおおきい。

それによってヒートショックなどを引き起こしてしまうこともゼロとはいえないという。

特殊清掃員はどちらの気持ちもわかるから、なんとかもめないように明け渡しまでいままでの経験での技法で清掃や脱臭などをおこなうのだがいちばん悲しいのは故人を亡くしたご遺族と、部屋の借り手を考える大家さんがもめている姿をみることだ。

だれもが、いつ当事者になるかわからない時代でこれからも高齢化は進んでいきます。健康であってもヒートショックなどで気を失い不慮の死を迎えてしまうこともある時代で、どうすれば早くに発見して必要な処理ができるのかトラブルにならないように部屋を借りる側と貸す側で賃貸契約のときに話し合いを持つことがこれからは必要になってくると話す。増田氏

デジタル化が進んでも基本的な対策ができていない

警報機

これは、一つのあんなのですが玄関のインターホンの横などに取り付けて子機などは自分が手の届く位置、またはスマホなどにアプリを入れて緊急のボタンをおせばランプがひかり周囲へ知らせてくれる、それをみた近所の人は救急なり警察へ通報なりどちらの方法でも「通報」できる地域での改革が必要ではと思ったりもする。

要は、物事が起きてしまって長い間放置されているよりもすぐに発見できるようなシステム開発またはソリューション開発が必要なのではないかと思う。孤独死というのは最後は助けが呼べなくてそのまま放置に至ってしまうことがおおいのでわずかばかりの今できる対策は助けを呼ぶときは自分で周囲に知らせるといった工夫も必要であると考えていて、人が亡くなった後に通報するのは気が引ける人も大勢いる、発見してしまえばなおさら第一発見者として根掘り葉掘り聞かれることもある。

もしも、隣は誰がすんでいるのかわからなくても、大家さんが賃貸契約の時にこのような注意を施し説明しておけば長い間見つからないといった死は通報によって少なくなっていくのではないだろうかと思っている。

この記事で伝えたいこと

人の死というのは人でなければ発見して通報できません。人を見つけられるのは人しかいません。

いちばん、見つけてほしいのは亡くなった故人かもしれません。長い期間発見されないよりも早くに発見されるほうがより良い方法です。

特殊清掃も早くに発見できれば臭いを取る期間も少なくて済みます、大家さんが原状回復費用が高額になることもありません。

「故人のために」人の役に立てるのはあなたかもしれませんし、通報ひとつで状況も変わってきます。

どうか、人としての気持ちをこの記事を通して伝えていけたらと思っています。

長い記事でしたが最後までお読みいただきありがとうございました。

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