孤独死とは悲惨なイメージとして捉えられがちですが本当にそうでしょうか。孤独死の問題というのは「孤独死をしたから問題ではなくて、発見されない期間が問題」と数々の孤独死の清掃に従事してきた専門家は語る。早期に発見できれば腐敗して姿やさいごの顔を見て送ることもできるけれど腐敗が進めば見ることもなく見送ってしまう現実もある。
孤独死が考えられる様子
孤独死(部屋で亡くなっている自然死)が懸念され近所の人が気付くまでには「様子見」のあとに発見されるケースがある。亡くなってから1日後や2日後に発見されることはなくその間はおかしいな?と思っていても、いったん様子をみるという時間が流れる。夏場であれば遺体は2日もあれば腐敗し鼻をつんざくような強烈な死臭を放ち遺体からは体中の体液が流れ出てしまう。
主に発見される要素は「テレビが大きい音でつけっぱなし」「シャワーが出しっぱなしの音」「臭いで窓を見たら虫が湧いていた」など1週間くらいの日にちが過ぎてから発見される。その間に身内が連絡して異変に気付いて発見されれば2,3日で発見されることはあるが、近くに住んでいない場合などでは最短の期間で発見されるようなことが難しい。
孤独死のなにが問題
人がこの世に生まれて死に向かっていきそしてさいごを迎えるということは避けては通れない事実、みんなが皆病院で逝去するわけではないのも現実ですが、孤独死を問題ととらえる人もいる。「孤独死を問題視する人は現場を見たことがない人がおおい」と孤独死の専門業に携わって年間700件を超える特殊清掃専門家の増田氏は言う。
「故人は社会と孤立していたから」「コミュニケーションが取れなくて孤独だったから」と勝手なイメージで故人像を作ってしまうが、実際の現場では発作で亡くなっていることが多い。糖尿病の低血糖や高血圧による大動脈解離、虚血性心不全などの急激な体調の変化による死亡だ。多くの遺体跡は部屋の中から助けを呼ぼうとして窓や玄関など外に知らせようとしてその途中で力尽きてしまったような遺体跡になっている。
ようするに、ひとり暮らしをしていて体調に異変が起きた時に近隣が気付かなければそのまま誰にも気づかれることがなく最期を迎えてしまうことが現実に起きているということ。近年ネグレクトなどで放棄したから衰弱して死に向かったという話もございますがそれらは生活を放棄しただけで直接的な孤独死の原因にはならないと感じると増田氏は話す。
セルフネグレクト状態であっても部屋をみると最低限の生きていくための食事はしているけれど部屋は雑然としていて散らかっている様子もあるが衰弱して孤独死を待ったという形跡は感じられない。
ひとがどこでいつ亡くなるかは誰にもわかることではない、医者で余命宣告をうけてもその通りになるわけでもない。ようするに孤独死というのは病院か家のどちらかで死亡したことに変わりはない。しかしながら、孤独死の問題というのは発見されない期間が問題ということ。
発見が長引いてしまえば良いことはない、賃貸であれば体液による躯体への損傷やリフォーム、空き室期間などの迷惑が掛かるうえ、近隣住民が臭いが洗濯物についてしまったりハエやウジの大量発生などによって生活へ迷惑を掛けて引越してしまったり風評などの懸念もでてきてしまう。
遺族と大家のどちらも費用が掛かってしまうことになってしまい原状回復費用のトラブルになってしまうこともある。そのような背景を踏まえ孤独死したことは問題ではないが「発見されなかった期間が問題」を招くといったことだ。
孤独死を気付くためには
孤独死というのは長期休みのあとに発見されることがおおい。ひとが集まって出かけるゴールデンウイークやお墓参りのための盆休み、近況報告のためのお正月休みなど一年のなかで家族や親戚が顔を合わせる時が発見率は上がってきます。
しかし、そのころに発見された孤独死は月日が経過してしまっていることがおおく短期間で発見される孤独死とは異なってきます。日ごろから心配していて連絡を取っていた場合では2~3日で発見されることがございますが長期休みの時に発見されるのは春先に亡くなっていた、梅雨のあいだに亡くなっていた、秋から冬に変わることに亡くなっていたということが推測されています。
早期発見するために家電や見守りなどの取り組みが行われておりますがそれらは実際には機能しておらず、ポットなども故障していないのでわざわざ買い替える傾向にはない、見守りと言ってプライベートを監視されているような気がする、といった意見もある。
できることとしてはスタンプなどを毎日家族が送りあったり、煩わしければ新聞の購読契約(契約者の電話番号は家族)や牛乳または宅配弁当の契約、高齢者を受け入れてくれる不動産業者など対策を考えていくようにするほかに、何かあったときのことを考えて大家さんが同じ屋根の下に住む賃貸物件などを検討すると良い。家賃は銀行引き落としではなく手渡しか毎月の振り込みにしておくと何カ月も発見されないといったことから防げると思っています。
なぜ孤独死になる
特殊清掃をしていて近隣の高齢者と話をすることが多いのですが多くの人が特殊な死に方とは思っておらず発見が早くて迷惑があまりかからないのなら家で死にたいと話す。
病院で体力がなくなっていくのを実感し味のよくわからない食事をして、点滴の量が増えて寝たきりになり腕は針の後で紫色になって最後の最後は黄疸(おうだん)がでて、生きることにがんばってきたのにこれ以上がんばってと言われたくないという想いがあるという。
どうせなら、最後はピンピンコロリが理想だけれど叶う現実は低いがそれでも家で死にたい。自分の好きな好物をたべて好きなとこに出かけたり、孫たちと触れ合ったりして近所の人たちと自分が生きてきた土地のはなし、むかしは川が左側に流れていたけれど台風などで右側に流れるようになった、舗装されていない砂利道だったから歩くのに大変だったが舗装されてから車両が通ったりできるので楽になった、あそこの人は同級生で一緒に苦労して生きてきたからどういう人か知ってるなどたわいのない会話をしていたいと話す。
いずれにしても住み慣れた家で普段通りに生活して自然に最期を迎えたいといった願望があるという。
孤独死で迷惑かけてしまう
孤独死は突然の発作が原因で亡くなることが多い、計画的に亡くなることはできない。孤独死したら多少は迷惑を掛けてしまうけど、生きているうちに介護付き老人ホームなどの毎月の支払いなどで子供に迷惑を掛けたくない。
自分に潤沢な貯金があるひとならば有料介護付き老人ホームで問題はないかとおもいますがみんなが入れるわけではなく自分の最期を考えながら生活していると思いますが、自分で動ける間は安い中古物件を購入してそこで暮らしていくのもいい。
もしも、持ち家で孤独死ということになったとしても原状回復のトラブルに子供が巻き込まれる心配も軽減できる、近所には迷惑を掛けてしまうけれど老人ホームの費用を何年も子供に払わせたくないと思っているなど。
最後のさいごまでお金がかかるといったことが現代で孤独死したら特殊清掃代は用意しとかなくてはならないけれど、葬儀や埋葬は「こどもにお任せ」したいといった方が多いように感じる。
春があっという間に過ぎて梅雨に入り暑い夏がことしもやってきますが熱中症で亡くなる方も非常に多い季節なので体調には注意しながら過ごしていただきたい。