- 20代・30代の若年層に多い死因とは・・・
- 高齢者に多い死因とは・・・
- 男女で死因に違いはあるのか・・・
現場での経験上、孤独死の死因としてもっとも多く見られるのは糖尿病による低血糖です。低血糖状態に陥った際、そばに気づいてくれる人がいないと、そのまま意識を失い、昏睡状態から回復できずに亡くなってしまうケースを数多く見てきました。
この記事は、遺品整理の専門家が実際の現場で得た知見をもとに、遺品整理や孤独死に関する悩みを抱える方に向けて発信しています。もし身近に同じような悩みを持つ方がいれば、ぜひこの記事をご紹介ください。一人でも多くの方の不安が解消できればと思っています。
目次
孤独死が発見される場所と死因の関係
孤独死は当然ながら自宅の中で起こりますが、部屋のどの場所で亡くなっていることが多いのでしょうか。実は、亡くなっていた場所によって、死因の傾向がある程度見えてきます。
- ベッドや布団の上
- トイレから出た付近
- 浴室から出た付近
- テレビの前(座椅子やソファー)
ベッドや布団の上で亡くなるケース
現場で最も多く目にするのが、ベッドや布団の上で亡くなっているケースです。少し前から体調を崩していたと思われる様子がうかがえ、横になって休んでいる間にそのまま息を引き取ってしまったと考えられる状況が多く見られます。
その根拠のひとつが、布団やトイレ周辺に見られる黒ずんだ血の跡です。死亡直前に見られる鮮血ではなく、時間の経過した血であることから、体調不良がしばらく続いていたことがうかがえます。
ベッドや布団で亡くなっているケースにおいて、死因としてもっとも多いと考えられるのは糖尿病による低血糖です。
トイレから出た付近で亡くなるケース
トイレ付近で亡くなっているケースでは、排泄時にいきんだ拍子に脳の血管に急激な負荷がかかり、そのまま容体が急変してしまったと考えられる状況が多く見受けられます。
いわゆる脳卒中の傾向が強いと考えられます。
便座に腰かけたままの状態や、用を足して立ち上がった直後の状態で発見されることが多く、力んだ瞬間や気が緩んだ瞬間に血管への負担がかかり、もともと血管が弱っていたところに異変が起きてそのまま亡くなってしまったのではないかと考えられます。
浴室から出た付近で亡くなるケース
浴室から出た付近で亡くなっているケースは、入浴中に体が温まった状態から、脱衣所や部屋の冷えた空気に触れて血圧が急激に変動するヒートショックが原因と考えられます。夏場に浴室内で亡くなっている場合は自殺であることがほとんどのため、孤独死としてのヒートショックは、主に冬場の浴室と部屋の気温差によって起こると考えられます。
ヒートショックは、高血圧など血圧に関わる持病がある方が特に注意すべき現象で、浴室と居室の温度差をできるだけなくすことである程度予防できます。
浴室付近で亡くなっていた方の自宅を見ると、高血圧の薬や利尿剤を服用していた形跡が見つかることが多く、入浴後の急激な温度変化によって血圧のコントロールがきかなくなってしまったのではないかと推測されます。
テレビの前で亡くなるケース
座椅子やソファーに腰かけ、テレビを見ながら亡くなってしまうケースで多く見られる死因は心筋梗塞です。
夕食をとりながらテレビを見ている最中に体調が急変したと思われるケースが多く、食事にほとんど手をつけないままテーブルに料理が残っていることも珍しくありません。
このパターンで亡くなる方には、喫煙習慣のある方(ヘビースモーカー)が目立ちます。喫煙による血管への負担が心筋梗塞を引き起こし、そのまま誰にも気づかれることなく孤独死に至ってしまったと考えられます。
孤独死は男女どちらに多いのか

ここまで挙げた4つの死因の傾向を踏まえたうえで男女比を見ると、現場の実感としては「男性」の方が多い傾向にあります。年代別では65歳以上の男性がもっとも多く、近年増加が目立つのが30代の男性です。
30代男性の孤独死においては、糖尿病による低血糖が死因の大半を占めているように感じます。
男女で差が出る背景には「食生活」の違いがあると考えています。栄養バランスの偏った食生活を続けていると、糖尿病をはじめとする生活習慣病にかかりやすくなり、最悪の場合、若くして命を落としてしまうケースも増えてきているのが現実です。
ただし、孤独死に関する統計は正確な判断が難しく、男女比についても数字として明確になっているわけではありません。公式に孤独死と判断された件数は年間3万人前後とされていますが、現場の肌感覚としては、実際には7〜8万人規模にのぼるのではないかと感じています。
監察医務院ではどう判断されるのか
「誰にも看取られないまま一定期間が経過した一人暮らしの方の死」が孤独死と呼ばれていますが、監察医務院に運ばれた際、死亡診断書に細かい病名まで記載されるとは限りません。
- 異常死
- 自然死
- 死因不明
と分類されることも少なくありません。夏場は遺体の腐敗が早く進み、うじが発生するなどして詳細な解剖が難しい場合があります。一方、冬場は暖房により室内が乾燥し、腐敗の進行がゆるやかなため、発見が遅れて白骨化してから見つかるケースもあります。
そうした状態になると、解剖しても正確な死因の特定が難しくなってしまいます。
そのため、生前に服用していた薬などから「おそらく死因は〇〇だろう」と推定されるケースも多いのが実情です。

東京都内では、平成28年に孤独死と判断された件数が3,179人にのぼり、1日あたりに換算すると8〜9人が孤独死と判断されている計算になります。ただし、監察医務院に運ばれるのは孤独死のケースだけではありません。1人あたりの解剖に1時間かかると仮定しても、それだけで1日8時間分の作業になり、さらに殺人や自殺、事故死の解剖も並行して行う必要があります。医師不足が指摘される日本において、監察医の数も決して十分とは言えないのが現状です。
つまり、同居していた2人のうち片方が朝起きたらもう片方が亡くなっていた場合は「自然死」として扱われ、一人暮らしの方が死因不明のまま亡くなっていた場合に「異常死」と判断され、その中で一人暮らしだった方が「孤独死」として分類されているのです。
孤独死の死因として考えられるもの
孤独死の死因を特定するのは簡単ではありません。生前から抱えていた持病が突発的な発作として現れたケースもあれば、老衰のように自然な形で力尽きたケースもあり、一括りに語れないのが「孤独死」という大きなくくりの実態です。
孤独死というカテゴリーの中には、現場の経験上、次のような死因が含まれます。
- 糖尿病
- 心疾患
- 脳梗塞
- がん
- 動脈解離
- 心筋梗塞
- 老衰
- その他の病気
これらのように、実にさまざまな形で最期を迎える方がいるということが、現場での経験から見えてきます。
多くは突発的な発作による死亡ですが、がんと老衰は少し性質が異なります。この2つは、いわば「生きることを受け入れながら最期に向き合っている」状態に近いように感じます。
末期がんで治療の手立てがなくなったとき、住み慣れた自宅で最期を迎えたいと考えるのは自然なことですし、老衰であれば、静かにその時を待ちながら自宅で人生を終えるという選択も十分にあり得ます。死を迎える場所は病院だけとは限りません。大切なのは「発見が遅れないこと」そのものよりも、周囲の一人ひとりが日頃から気にかけ、見守っていくという意識だと思います。で発見されないというのではなく、人として全員が気を付けて見守るというテーマだと思います。
孤独死の本当の問題点とは

家族と同居していれば、亡くなった際にすぐ気づいてもらえるという安心感がありますが、一人暮らしの方にとってはそうした保険がなく、不安を感じる方も少なくありません。高齢になれば配偶者に先立たれて一人になることもありますし、歳を重ねてから心を許せる友人を新たに作るのも簡単なことではありません。
人が亡くなること自体は自然なことですが、長期間発見されないまま放置されてしまうことは、たとえ他人であっても見過ごしてよいことではないと感じます。死に対しては誰であっても敬意を持ち、普段とは違う臭いに気づいたときには、迷わず通報するという行動を一人ひとりが持っていてほしいと思います。
「孤独死が問題だ」という声もありますが、本当に問題なのは、明らかに普段と違う異臭に気づいていながら見て見ぬふりをしてしまうことではないでしょうか。通報は誰にでもできることですから、気づいたときにはためらわず行動することが大切です。
万が一、発見が遅れて死臭や体液による汚染が室内に広がってしまった場合は、専門的な技術を持つ業者による特殊清掃が必要になります。実際の清掃事例は東京の孤独死特殊清掃|発見遅れによる死臭・腐敗臭除去と原状回復事例で詳しく紹介しています。
よくある質問
孤独死の死因について、よくいただくご質問にお答えします。
孤独死で最も多い死因は何ですか?
現場の経験からは、糖尿病による低血糖がもっとも多く見られます。低血糖の状態に陥った際、周囲に気づいてくれる人がいないと、そのまま昏睡状態から回復できずに亡くなってしまうケースが目立ちます。
死因によって発見される場所に違いはありますか?
ある程度の傾向はあります。ベッドや布団の上では糖尿病による低血糖、トイレ付近では脳卒中、浴室から出た付近ではヒートショック、テレビの前では心筋梗塞が多く見られます。ただし、これらはあくまで現場での傾向であり、必ずしもすべてのケースに当てはまるわけではありません。
孤独死は男女どちらに多いですか?
現場の実感としては男性に多く、特に65歳以上の高齢男性が中心です。近年は30代男性の孤独死も増加傾向にあり、糖尿病による低血糖が主な死因となっています。ただし、正式な統計として男女比が明確に示されているわけではありません。
死因が特定できないことはありますか?
あります。発見が遅れて遺体の腐敗が進んでいる場合や、逆に乾燥が進んで白骨化している場合など、解剖しても正確な死因を特定できないことがあります。その場合は「異常死」「自然死」「死因不明」といった形で処理されることが多くなります。
孤独死を防ぐために日頃からできることはありますか?
持病がある場合は服薬や通院を継続すること、家族や隣人と定期的に連絡を取り合うこと、浴室と居室の温度差をなくすなど生活環境を整えることが挙げられます。異変にいち早く気づいてもらえる環境を普段から作っておくことが、早期発見につながります。
孤独死に関する基礎知識をもっと知りたい方は、基礎知識コラム |株式会社ToDo-Companyもあわせてご覧ください。
