特殊清掃って何?サービスの中身を専門が徹底解説

特殊清掃って言葉を近年聞くようになってどのような仕事なのか、知ってはいるけどどこまでやってくれるのかわからないことってありますよね。

ここでは、孤独死(自宅死)の特殊清掃について現役の特殊清掃会社が詳しくご説明してまいりますので少しお時間をいただければと思います。

特殊清掃というのは現実の清掃ではなく亡くなった人がいた部屋を清掃し、またその部屋が入居できるように原状回復などをする仕事です。

非現実的な清掃だから特殊清掃

非現実な特殊清掃

特殊清掃と聞くとゴミ屋敷の特殊清掃だったり、線路への飛び込みなどの特殊清掃と想像する方もいらっしゃいますが基本的には孤独死(自宅死)の特殊清掃のことを特殊清掃とあらわしています。

世間では身寄りがなくひとり身の人が一定の期間発見されずに部屋で亡くなっていることを孤独死と呼称しておりますが以下(自宅死)といいます。実際の現場では本当に孤独だった人はほとんどおりません。世間から孤立しているのであれば発見だってできないだろうし誰かがいるから発見されるのです。

特殊清掃は何をするの?

人が亡くなって長期間発見されなければ遺体は腐り身体から体液が出てきます。体液がでるとタタミやフローリングへしみ込んでしまいます。

大量の体液が流れ出ればタタミの下やフローリングの下、床下にまで体液は浸透し木材などが脂でベタベタになってしまいます。

そのようになった場所を元通りにまた次の人が住める状態に原状回復することが特殊清掃の役割になっています。

想像では体液や脂を拭き取ればいいと考えるかもしれませんが、そうなるまでに腐敗していたので臭いやウジまたはハエの発生があります。ただ単に拭き取り作業をするのではなく順を追って作業をしなければゴールへはたどり着くことができません。

特殊清掃のはじめの一歩

特殊清掃をする前にどのくらいの期間、どのくらいの工程が掛かるか実際に現場へいって必要事項を確認しなければなりません。部屋に入る際には大腸菌などが浮遊している恐れがあるため消毒剤を持っていき噴霧しながら見積りをします。

遺族と打ち合わせをして、後日にいざ作業に入るわけですがそこではまず部屋を飛び回っているハエを退治することからはじまります。ドアを開けっぱなしにすれば近隣へハエが散らばっていってしまうのでなるべく部屋の外に出さないように退治することです。

ウジやハエの駆除

ハエは1カ所に溜まっているのではなく部屋全体に散らばっているので各部屋への駆除が必要になってきます。そしてハエがいるということはウジもいるということです。ウジも隠れられる場所に潜っていってしまうため早急に対処しなくては近隣に這って行ったりしてしまうため躊躇なく駆除することが必要になってまいります。

特殊清掃と遺体跡

遺体跡の処置

一通りウジやハエの駆除が終わったら遺体があった場所(遺体跡)の処置に移ってまいります。なぜ、遺品よりも先に遺体跡の処置をするのか?

遺体跡が廊下の真ん中だったり、避けて通れない玄関などであったりすれば体液を踏んでそのまま外にでて臭いや汚れ、菌などを撒き散らかしてしまうことになってしまいます。

そうすれば近隣住民に迷惑が掛かり建物全体へ風評被害などが出てきてしまう恐れがあるのです。

そうならないために遺品の撤去よりも先に遺体跡の処置をしなければなりません。

特殊清掃と遺品整理

人が住んでいた部屋で亡くなったということは暮らしていた家財道具があるということです。

特殊清掃と遺品整理

そこには、遺族が相続に必要な書類であったり貴重品であったり、家族と故人の思い出があったり致します。そのほかは必要のない遺品があったりと遺品整理をしながら必要なものと必要ではないものに分けていく作業があります。

そこで考えていただきたいのは「無法地帯」ではないということ。故人が遺したもの、だからすべて捨ててしまおう。とはならないのです。貴重品があれば遺族へ渡したり、相続するために書類などを見つけていったりその地域のルールに沿った分別方法で分けたりしなくてはならないのです。

不用品回収や便利屋などによる「特殊清掃」は特殊な物件を片付けるにすぎず一般的に特殊清掃と言われるものではなく「特殊片付け」となりますので貴重品や書類など見つかる物も持ち去ってしまい見つからないといったトラブルになってしまうこともございます。

故人が発見され臭いが残る部屋で遺品整理をすることは過酷ではありますが専門であればそれなりの防具をして作業に取り組むので発見率は高まってまいります。

本格的な特殊清掃

本格的な特殊清掃

特殊清掃を専門にやっていると「消毒~遺品整理~清掃~脱臭~修繕」までが特殊清掃なんですが、片付け系の特殊清掃は亡くなった部屋の片付けを特殊清掃と謳っている業者も少なくはありません。

適当に片付けだけをやって「うちはここまでです」と言われ弊社に清掃から脱臭までを依頼される依頼者様がいるのも現実的に近年多くなってまいりました。

業者選びというのは本当に大変でどこに依頼すればきちんとやってくれるか悲しみを抱えながらの業者選択はトラブルを防ぐための一つの難関なのかもしれません。

遺品整理が終了し、残っている工程は清掃工程と脱臭工程です。清掃工程をしっかりやらなければ脱臭工程をしても意味のない施工になってしまいますので全体的に清掃を徹底的におこなっていきます。

床下の状態

長期間、誰にも発見されずに部屋の中で亡くなっていた場合には床のフローリング材も腐ってしまいフカフカな状態で上に立てば貫通してしまい床下に落ちてしまうこともございます。

そして、床下の状況も確認して床下に体液が流れ出てしまっているようでしたら床下の洗浄もしなければなりませんので床下の状況確認は経験則で必要になってきます。

床下の洗浄

床下に体液が流れ出てしまった場合床下の土壌や根太などにしみ込んでいる体液を浮かしながら取り除いていく作業工程が必要です。もちろん臭いも発生していて洗浄するまで腐敗した臭いが落ちてくることはありません。

臭いを落とすことというのは時間が経てば落ちてくるのではなく徹底した洗浄があるから臭いが収まってくることになります。腐ってしまった木材は取り換えが必要になりますがどうしても外せない柱などは洗浄して汚れを取り除かなければ臭いがぶり返してしまいます。そうならないためにも洗浄は丁寧にしっかりやらなくてはなりません。

もしも、洗浄を怠ってそれほど臭いがないから床材を貼ったり壁紙などを張り替えたりしてもやがて気温が上がってくれば木材は呼吸し体液も発酵して臭いが戻る「臭い戻り」と呼ばれる2次被害に遭ってしまいます。これは経験のない業者におおくうわべだけの特殊清掃をして床や壁を張り替えたことにより実際にあるトラブルです。

特殊清掃は経験豊富で清掃後の経過をきちんと確認しなければ、通常の業者ではまったく歯が立たない仕事になります。

特殊清掃後の脱臭工程

特殊清掃の臭い

特殊清掃後の脱臭工程では元の臭い強度を臭い計測機で記録し脱臭中にどれだけ臭いが落ちているのかを経過観察いたします。きちんと機械で計測するかは業者によって違いはありますが臭いは目には見えないため計測器を使用して科学的観点から臭いを見える化していきます。

臭いは薬剤で落としていく方法もありますがオゾンなどの機械を使用して落としていく方法もあります。弊社ではどちらも使用して経過を見ながらどの薬剤が効果的に効いているのかを判断して使用度を変えています。

臭いを見える化

臭いを機械で計測することで間違いのない特殊清掃ができますが、中には臭いを計測しないで窓を開け臭いがないように見せかける業者も存在するので注意が必要です。

臭いの脱臭は1日や2日といった短期間では難しいために根本から臭いを消すために薬剤の濃度を強めたり変えたりしながら日数を掛けて徐々に落としていき脱臭してまいります。

この工程は特殊清掃の中でも大事な工程になるので丁寧に確実にやらなければ臭い戻りの原因となってしまいますので少しでも懸念材料があればまた洗浄からやり直すといった作業になります。

特殊清掃リフォーム

臭いは表面上だけではなく、床下に流れてしまった場合そこも脱臭しないといけないため入念に確認を行いながら進めていきます。部分的にリフォームをする際には大工さんと連携しながら進めるときもあるため床を開けて臭いの確認をすることも特殊清掃の一環となっています。

特殊清掃臭い濃度測定

薬剤での工程と機械での工程が終わったら最終的に臭いを計って問題ないレベルまで臭いを下げ切って脱臭完了となりますがここまで脱臭を入念にするには「臭い戻りをしない」という徹底した専門レベルの仕事をするためです。少しでも依頼してくださった方の為に安心をお届けできるように機械を使用して科学的に臭いを脱臭していきます。

特殊清掃後の除菌コーティング

特殊清掃後の除菌

特殊清掃の最終段階の工程では、光触媒を利用した除菌をおこない臭い戻りのない特殊清掃を実現しています。特殊清掃は何工程もの作業がありそれらの工程ごとに役割がございます。

一つでも省いたりすれば「臭い戻り」という不完全な施工になってしまいます。そうならないためには現場で経験が豊富な業者に依頼することがいちばんの近道であり安心材料だと思います。

特殊清掃と文字にしてみれば4文字ですがそれを遂行するためには多くの手間と時間が掛かるため簡単にはできない現実があるのです。

もちろん簡単に考えて参入する業者も多くありますが結果的に臭いが取れていないなどのトラブルで1年もせずに廃業する業者もいます。業者を選定する際には実績がおおく実際の現場画像でこまかく説明している業者を選ぶことをお勧めいたします。

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