「最後まで助けての声が届かなかった・・・」遺品整理と特殊清掃

2016年7月31日

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誰にも看取られることなくこの世を去った故人の部屋に置かれていた手書きのメモ

私たちが部屋の中に入り遺品を整理しているとメモらしきメッセージが倒れていたテレビ付近に落ちていた。
電機やガス・水道などが止まり、ライフラインのない生活を送っていた時に書いたと思われる最後のメッセージ・・・

少子高齢化が進む昨今、孤独死という「新しい死に方」が話題性を呼んでいる中でこれを「問題化」する残念な人がいる。
人間だれしも生を受ければ死が待っている。その死に方がたまたま孤独死という死に方であっただけで問題にされることは立場を自分に置き換えた場合どのように感じるのでしょうか。

なぜならば、孤独死という死に方は「新しい死に方」であり、問題化することというのは「発見されなかった期間」が問題なのです。
故人は死ぬ前に何かしらのメッセージを送り精いっぱいに伝えようとし息絶えてしまった。

ペットを飼っているならばそのペットがメッセージを伝えようとしている場面さえ遭遇することもある。
そのメッセージを見ぬふりをして、日々過ごしてしまう「第一発見者になりたくない」という人の冷たさが一番の「問題なのでは」ないでしょうか。

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発見されない遺体は無数のウジに食べつくされハエとなり窓辺に残骸が残る

ハエは羽化後4~5日してから産卵を開始し、1回に50~150個の卵を産み一生に500個の卵を産みます。卵は乳白色・長楕円形で1日足らずで孵化します。

幼虫の発育は早くて約1週間で成熟し、乾いた場所に移ってさなぎになります。さなぎの期間は4~5日なので卵から成虫まで2週間足らずです。

ハエの一生というのは約6週間が平均となっていて飛んでいる最中でも卵胎生を産み付ける場所を探して産み付けます。
下記は孤独死の部屋の窓にたくさんのハエがぶつかり、汚してしまった窓です。
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ハエの害はどのようなものがあるのか

ハエは単に食べ物にたかるだけではなく、大腸菌、黄色ブドウ球菌、サルモネラ菌、赤痢菌、腸炎菌などさまざまな病原菌を媒介します。また、1996年に問題となったO-157もイエバエによって媒介されており、その後も被害が続いています。

汚いところを歩き回り、足や体に付いた病原菌を運搬する。
ハエによって人や家畜に媒介される病気は、赤痢・コレラ・チフス・ポリオ・O-157など60種以上あるといわれている。

孤独死した部屋を放置して良いことなんて一つもありません。

人が亡くなることについて、それは自然の摂理ではありますが孤独死したお部屋を放置し第一発見者になりたくないという理由から隣人が報告しないケースが少なくありません。

その間にも遺体には成虫が卵胎生を産み付け食べつくされ、強烈な臭いを放つようになります。

もし、発見が3日以内であればそのようなケースにはならないこともあるのではないでしょうか。
そして、原状回復費用についても抑えることが可能になるのです。

放置すれば放置するほどお部屋はひどくなり、隣に住むことさえもできなくなる可能性を秘めています。
絨毯を剥いでもその下にはウジ虫が存在するようになってしまいます。

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フローリングや絨毯張りでできている床の下には無数のウジ虫がいることもあります。
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「隣人だから関係ない」孤独死物件の隣に住む人の言葉

なぜ、気付くことができなかったのか・・・?

それは、「身内ではなくあくまでも隣人だから関係ない」衝撃的な言葉を聞いてしまった。気付くのは身内で、隣人が気づくのは違うという発言だった。

どうして、気付かなくてはならない人がそんなに冷たい言葉をつかうのでしょうか。

今回、残された一つのメモにはいったいどんな思いがこもっていたのかを痛感する現場となった。

私たちは「プロである」以上、孤独死の現場をどこよりも見ています。

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最近では様々な業者がメディアの影響で参入している昨今、孤独死物件の経験が浅い業者に依頼して効果のない事例が急増しています。なぜならば、「技術」を持ち合わせていないからです。

私たちにご依頼してくださるご遺族様は信頼関係で成り立っていますのでその気持ちに応えることが出来なければ「プロとして」報酬をいただくことができません。
経験が浅く大層な機械を使い、格好だけで施工している業者とでは「技術」に明らかなる違いが出てまいります。
「他にないやりがい」そう言って参入する方も少なくありませんが、それは自己満足です。
自分のやりがいを求めるのであれば他でやれば良い。本当に必要なのは「ご遺族を想う気持ち」なのです。感謝される喜びよりも人のために自分が何をできるのかを考えてほしいものです。

私たちはご遺族様の為に真剣に作業を行っています。
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